今回のイベント内容についてご報告をする前に、一つだけ皆様にご通達事項がございます。
いつもイベントにて当団体の連絡先などお配りしておりますが、メールでご連絡をいただいた方のなかに、当方からの返信メールが届かない方がいらっしゃいます。
当団体宛にいただきますメールアドレスの中に携帯メールアドレスや電話番号など、こちらからのメールがうまく送れなかった場合にご連絡できる別のアドレスをお伝えいただけますと大変助かります。
さて、10月14日に開催したイベントは、会場の椅子がほぼ満席となる盛況ぶりでした。ご参加くださいました皆様、本当にありがとうございます。
今回のイベントでは、かねてよりゲーム保存協会が取り組んできましたデコカセットシステムをメインに、古いゲーム機器の再生復活のためのさまざまな保存修復技術をご紹介しました。
デコカセとよばれるこの業務用ゲーム機器の特殊性や魅力、保存の意義を確認しながら、実際に残された機器の劣化の現状、それを修復するために必要となる特殊な技術や部品の復刻など順を追ってご説明いたしました。
80年代の奔放なイマジネーションと豊かなクリエイティヴィティが生み出したユニークなゲームとゲーム機器は、放置すればゴムローラーが劣化して溶け出したり、デッキ内部にゴミがたまったりして、どんどん動かなくなっていきます。
ゲーム保存協会では、多くの方々と協力して、この特殊なゲーム機器の修理復活の方法を作っています。
デコカセ用の特殊なパーツ類はゼロから作り直し、特注しています。
カセットのデータも今後も修理修復ができるように専門的に解析し、職人の細やかな手作業で見事に生産当時のきれいなカセットの状態に戻すことができます。
イベント会場では、実際にデコカセ作品も稼動させながら、多くの方と情報交換をさせていただきました。
現在、団体ではデコカセ作品のうち約9割を無事に保存し修理することができました(小カセとよばれるシステムに限ります)。
イベント内でもお話しましたが、デコカセを修理するためのパーツにはいくつか特殊なものがございます。
たとえばカセットを回すローラー部分は、ゴムが劣化して液体化するケースが多く、故障の一番の原因となります。
このゴムローラーは代換できる同型のものが存在しなかったため、ゼロからパーツを生産することとなりました。
現在も、修理のたびに必要となる重要なパーツですが、特殊な部品ということもあって、生産数が少ないと単価が上がってしまう悩みがあります。
またカセット内にもいくつか特殊なパーツがございます。
通常の音楽用のカセットテープすら生産が終了し一部入手が困難になってきましたが、たとえばデコカセ専用ヘッド部分のフェルトは一般的に買うことができず特注となります。
現在このフェルトについては、団体内に部品の在庫がまだありますので、しばらくは安心ですが、カセットテープの生産終了および昨年のタイでの大規模な洪水による工場喪失によって、フェルトの供給について今後が危ぶまれます。
私たちはこうした事情を考慮し、修理修復に必要な資材の情報をきちんと残し、後々にもそれを元に再現ができるように心がけております。
また、修理にかかる費用を少しでも抑えるためにも、ゴムローラーなどの特殊パーツについて、修理やストック用も含めたパーツ購入希望の方を募って、ロット数を増やして注文をすべく、調整を行いました。
もし、デコカセのソフト(大カセを含めて)をお持ちの方がいらっしゃいましたら、ぜひご連絡をお願いいたします。
たとえ難しい劣化状況で壊れて動かなくなっていたとしても、ゲーム保存協会にご連絡をいただければ、修理・修復ができる可能性がございます。
当団体では修理の内容によって部品代等実費のみいただく形で修理など承っておりますので、まずはお気軽にご連絡をください。
ユニークなゲーム作品を一つでも多く後世にのこすため、ぜひよろしくお願いいたします。
ゲーム保存協会 ルドン