国立国会図書館様とフロッピー等の保存に関する意見聴取会を行いました。
去る2020年11月27日、国立国会図書館 電子情報部電子情報企画課次世代システム開発研究室の方々より依頼を頂き、フロッピーディスクを中心としたデジタルメディアに対する保存活動の取り組みに付いて、オンラインでの意見聴取会にて説明させていただく機会に恵まれました。
きっかけはルドン理事長がカレントアウェアネス-Eという国立国会図書館様が発行されているメールマガジンへのPaulineに関する寄稿でした。
国立国会図書館様では2007,8年頃に所蔵しているフロッピーディスクやCD-ROMなどのデジタルマイグレーションについて調査をされています。
資料(平成18年度調査報告書、平成19年度調査報告)を拝見させていただき、当時としては非常に詳細に調査されている内容ではありました。
しかしそれから10年以上が経過し、報告されているマイグレーションの方法は、現在むしろ環境構築が困難である部分も多々あり、技術的にも様々な課題に直面されているようでした。またKryofluxやPaulineなどのデバイスについては、存在として既に把握されていたようです。このような背景で、今回当協会の取り組みを説明させていただく運びとなりました。
当日は、国立国会図書館様側からは次世代システム開発研究室の方々を中心に12名の方に御参加いただき、協会からは理事長と私福田で90分ほどの説明の後、質疑を30分程度を行いました。
はじめに、理事長より協会の所蔵する資料とその物理保存方法、データベースに登録されるメタデータについて説明しました。磁性体表面に利用されるコーティング剤や多湿によるカビ問題や、ゲームとして保存する場合のメタデータ登録項目に関してなどは詳細に説明されました。
次に福田よりフロッピーディスクというメディアの技術的側面と、KryoFluxやPaulineの技術的説明、KryoFluxからPaulineを作成するに至った経緯を説明し、現時点でのPaulineを使うメリットと問題点について説明させていただきました。
また最後に、CD-ROMなどの光学メディアに関するマイグレーションの問題点についても簡単にお話させていただきました。
我々の説明の後、国立国会図書館様からも多くの質問を頂き、非常に内容の濃い意見聴取会となりました。私自身もこの会の資料作成を通じて、現状でのPaulineの問題点を把握することが出来、非常に有意義な取り組みとなりました。
今後は国立国会図書館様とPaulineを利用する場合の環境構築などに関する情報提供や、そこで得られたデータ利用が可能な次世代エミュレーターの作成など協力を行っていきたいと考えております。
当協会はゲーム保存を目的とした研究や技術開発を行ってまいりましたが、それらは西陣織の織機で利用されているフロッピーディスクのマイグレーションに協力し成功したことなど、ゲーム以外の分野へも応用することが可能です。
お困りの団体、機関などでお手伝いさせていただけることがあれば、当協会の知識や技術協力を行うことは可能ですので、どうぞご連絡ください。
ゲーム保存協会・副理事長 福田 卓也