ゲーム音楽の名クリエイター古代祐三さんがゲーム保存協会の名誉会員に加わりました

80年代から数多くのゲーム音楽を制作し、ゲーム音楽業界に多大な影響を与えた古代祐三さん。
日本のゲーム音楽史を代表するサウンドクリエイターの一人である古代さんを、この度ゲーム保存協会の名誉会員としてお迎えすることになりました。

名誉会員制度とは

ゲーム保存協会では、ゲームソフトやハードウェア、雑誌や書籍などを収集するだけでなく、こうしたものを作っていた当時の第一線のクリエイターの皆さんとの輪も大切にしています。人がいなければ文化は生まれません。名作ゲームの裏には、必ず、一人一人のヒューマンドラマがあるのです。人の足跡を記録し、証言を記録することも大切なゲーム保存活動である、との思いから生まれたのが、ゲーム保存協会の「名誉会員」制度です。

ゲーム保存協会には3つの異なる会員制度があります。保存活動全体を年会費によって支える「サポーター会員」、実際の保存作業や団体運営を行う「正会員」、そして「名誉会員」は過去の功績や現在のネームバリューで当協会の保存活動に貢献し、応援を送る特別な会員です。

古代祐三さんについて

古代さんは高校時代にPC-8801と出会い、アーケードゲームの耳コピや同人活動を通じてゲーム音楽の世界に入り込みました。海外のファンも多く、近年は、ゲーム音楽の枠にとどまらずアニメ音楽も担当するなどジャンルを越えて活躍中です。
株式会社エインシャント代表取締役社長、JAGMO名誉会長でもあります。

以前より古代さんと当協会との親交がありましたが、今回改めて当協会のゲームを文化として次世代に残すという活動方針への賛同をいただき、この度、名誉会員として当協会への参加をご快諾くださいました。

ゲーム保存協会を応援する古代祐三さんからのメッセージや略歴は、こちらのページでご確認いただけます。

名誉会員 古代 祐三

 

ゲーム文化の歴史に貢献された方からの応援は、活動を続ける私たちにとって、とても心強いものです。
未来にゲームの歴史をしっかりと伝えていくために、一つでも多くの資料を残し、一人でも多くの方と協力して取り組みたいと考えているゲーム保存協会。取り組みへの参加方法は様々です。今後も名誉会員に参加いただける方が増えるよう、透明性を保った団体運営と真摯な活動展開を維持してまいります。

今後のゲーム保存協会の取り組みへのご支援ご協力をよろしくお願いいたします。

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写真:Nicolas DATICHE

雑誌インデックス化作業のため、I/O別冊を探しています

ゲーム保存協会は2020年・文化庁アーカイブ事業活動に参加しています。
現在、2020年度も前年度に引き続き、雑誌のインデックス化作業を行っておりますが、作業にあたり、当協会にて所蔵していない書籍を捜索しております。

このプロジェクトの目的は、雑誌プログラムリストを作成し、パッケージ販売されていないゲームの全貌を把握すること。
リスト化作業と同時に、雑誌のインデックスも着手しています。
当協会は現在ゲームソフトだけではなく、ゆくゆくはゲーム雑誌カタログデータを公開する予定です。
全ページの掲載内容を参照することで、どの雑誌の何月号に何の内容が掲載されているか、あらかじめ知ることができます。
これはゲームの研究・調査に大いに役立ちます。

貸し出しまたは寄贈が可能な方がいらっしゃいましたら、ぜひ本プロジェクトのご協力をお願いいたします。
以下に捜索中の書籍を明記しますので、貸し出し、ご寄贈の各フォームよりお心当たりのある方がいましたら、
ご協力可能な旨をご連絡をいただけますと大変ありがたく存じます。

■捜索中の書籍

すべての書籍が見つかりました。ご協力ありがとうございました!

I/O別冊(工学社)

  • 別冊② TVゲーム徹底研究 ※ご連絡あり、調整中
  • 別冊⑥ BASICゲーム徹底研究②
  • 別冊⑧ マイコン活用アイデア集 
  • 別冊⑨ マイコン・ゲーム徹底研究②
  • 別冊ペーパーウェア FP-1100①
  • 別冊ライブラリ① システム・プログラムライブラリ①
  • 別冊ライブラリ② アプリケーション・プログラムライブラリ①
  • 別冊ライブラリ③ システム・プログラムライブラリ②
  • 別冊④ マシン語徹底研究 ※ご連絡あり、調整中

■貸し出しにご協力いただける方

お問い合わせフォームからご連絡をお願いいたします。
→ゲストの方

→会員の方

返却予定日:2021年3月末まで
※ご連絡いただけるタイミングによって返却日をご相談させていただく場合がございます。

■ご寄贈を検討いただける方

寄贈の案内ページより、注意事項をお読みいただき、専用フォームからご連絡をお願いいたします。
→ご寄贈はこちら


なお、本プロジェクトとは別に、資料室リストのページに記載のある「欠」で始まる雑誌も当協会にて所蔵していないため、
ご寄贈のご検討いただける方がいましたら、ご寄贈の案内ページからあわせてお知らせいただけますと幸いです。

月刊マイコン(電波新聞社)
欠:1983年1月号、7月号、9月号、1990年4月号から

ラジオの製作別冊付録/マイコンベージックマガジン(電波新聞社)
欠:1981年6月号から1981年8月号まで

I/O「アイ・オー」(工学社)
欠:1976年12月号、1977年1月号と8月号、1979年5月号から9月号まで、1980年12月号
欠:1987年6月号

月刊アスキー(アスキー)
欠:1977年7月号から9月号まで、1978年1月号と4月号、1981年1月号と5月号、1987年1月号、1993年12月号

PCマガジン(新紀元社)
欠:1981年1月号から4月号まで、1982年4月号から9月号まで、1987年3月号

RAM「ラム」(廣済堂)
欠:1979年11月号、1981年1月号,3月号,6月号、1982年1月号と12月号

Beep!「ビープ」(日本ソフトバンク)
欠:1985年第1号と第4号

Oh!X「オー・エックス」(ソフトバンク)
欠:1995年1月号から

Oh!FMTOWNS「オー・エフエムタウンズ」(ソフトバンク)
欠:1994年8月号から12月号まで

ご連絡を心よりお待ちしております。

フランス姉妹団体「リュドテーク」の活動と連携

ゲーム保存協会の理事長ルドンはフランス出身で、その縁もありフランスのゲーム協会「リュドテーク」(正式名称:La Ludothèque française 【ラ・リュドテーク・フランセーズ】)と協力関係を結んでいます。
「リュドテーク」の活動と、当協会との連携についてご紹介します。

 

今や映画は人類の大切な芸術作品で、残すべき文化のひとつになりました。でも100年前、映画は堕落した娯楽の一種だと考える人もいて、作品の保存が必要と考える人は少なかったのをご存知ですか?
フランスでアンリ・ラングロワという人が1930年代に映画を残すべき芸術作品として資料整理やカタログ化を進めたてできたのが、シネマテークです。今や映画監督らが古い作品から学ぶことは一般的なことになりました。
フランスでは昔から、物を残し、それを共有し、次の作品を生む原動力とする「文化の継承」や「循環」を、当たり前のことと考え実践する社会風土があります。そして今、ゲームがこの継承の対象になっています。

フランスではゲームが、映画や漫画と並んで第10の芸術と呼ばれています。90年代にはゲームの納本制度もできて、フランス国立図書館(BnF)では研究者への資料提供や、定期的なコンフェランス、展覧会の開催がはじまっています。
ゲーム保存の先進国になりつつあるフランスですが、それでも、納本による収蔵が始まる前の古い作品については、国の取り組みが遅れています。
フランスにはフランス独自のフランス産ゲームの歴史がありました。手遅れになる前に何とかしてその歴史を残したいと考えるフランスの仲間たちが立ち上げたのが「ラ・リュドテーク・フランセーズ」です。

ルドン理事長と「リュドテーク」のメンバー

ルドン理事長と「リュドテーク」のメンバー

80年代、ゲームを作っていた国というとアメリカや日本が目立ちますが、欧州ではイギリス、フランス、ドイツがそこに続きます。当時の日本はアメリカのゲームへの注目度が高くヨーロッパの作品には無関心でしたが、ヨーロッパにはヨーロッパの独自のゲーム文化がありました。
ゲーム保存協会のことを紹介したドキュメンタリーを見て「フランスでも同じような活動をしたい」と連絡が来てから、私たちは日本とフランスで、同じようにゲーム資料の保存に取り組む姉妹団体として活動を続けています。

リュドテークの名称は、シネマテークへのオマージュで、Ludoはラテン語でゲームを示し、映画のようにゲームを作品として集め保存する場所という意味です。2017年に正式に団体として設立、現在、活動方針の意思決定に直接関わるメンバーが9人います。
リュドテークが大きくゲーム保存協会と異なる点は、リュドテークが物理的なコレクションを持たない点にあります。日本のゲーム保存協会では保存作業を進めるために、ゲームを物理的に一か所に集めるアーカイブ室がありますが、リュドテークにはそれがありません。というのも、フランスのゲームコレクターは保存活動に非常に積極的なため、進んで保存作業に協力してくれます。ゲームを一か所に集めなくても、データの保存とデジタルアーカイブが作れる環境です。

80年代を中心としたフランス産ゲームの総数は3,000本程度。日本と比べればかなり小規模で、コレクターのこうした参加があれば、そのすべてを保存することも不可能ではありません。
現在、ゲーム保存協会とリュドテークは手を組んで、技術面での協力はもちろん、グローバルなゲームカタログの作成に進んでいます。リュドテークが持っているアーカイブ先進国ならではのカタログ化のノウハウや、フランス国立図書館をはじめとした公的機関との関係など、これからの密な連携が期待されています。
ルーブル美術館を見るとわかりますが、これまでの歴史でフランスが他国に先駆けてアーカイブを進めたことから、様々な遺物が芸術としての地位を確立するケースが多々あります。ゲームに関しても、まずフランスが動くことで、他国にも保存の気運が高まればと期待しています。

フランス産のゲーム

アナザーワールド(Amiga 500版)1991年

アナザーワールド(Amiga 500版)1991年

時間の鳥を求めて(Amiga 500版)1989年

時間の鳥を求めて(Amiga 500版)1989年

ブラッド船長の箱舟(Atari ST版)1988年

ブラッド船長の箱舟(Atari ST版)1988年


ゲーム保存協会ニュースレター GPS News May 2020 vol.10 記事より