ナイトライフ


光栄より1982年に発売


ソフトの特徴

いまでは、シミュレーションゲームの大御所、天下のコーエーが発売していたストロペリーポルノシリーズの1つです。このストロベリーシリーズというのは、エロチックな部分を上手にゲームに取り入れていたもので、その他に「団地妻の誘惑」(第1弾)、「オランダ妻は電気ウナギの夢を見るか?」(第2弾)があります。ナイトライフは、これらのゲームよりも前にリリースされ、あとからストロベリーポルノシリーズとして加えられました。ナイトライフは、1982年に発売され「アダルトゲーム」の分野では非常に初期(もしかすると最初のアドルトゲームかもしれない)のゲームです。こんなゲームを昔作っていたかと思うと、今のコーエーの姿は考えられないなぁ、と思ってしまいます。

この「ナイトライフ」は、「ご結婚祝いに最適」というキャッチフレーズどおり新婚(新婚じゃなくても別にいいのだが)さんの夜の生活をサポートするためのソフトです。きっと友人の結婚式に「これ、今夜使ってみてくれよ!!」といって、多くの人がプレゼントしていたのでしょう(笑)。こんなソフトなので未成年者は購入できませんでした。(購入した未成年者もいたと思いますけど、レジにもっていくのはかなり勇気がいることだったでしょう。いや、未成年者でなくても勇気が必要だったでしょう)


まずディスクを立ち上げると、ゲームの説明が表示されるのですが、これがまずすばらしい!!!

内容

このプログラムは、あなたと奥様のナイトライフをよりいっそうすばらしいものにするために作成されました。(未成年者は直ちにnewしてください) 急激な運動および過度の興奮は、心臓などにかなりの負担をかけます。十分な準備体操をしてからRUNしてください。がんばりすぎてぎっくり腰になっても当社は感知できません。

安全日の計算は、オギノ式を元に計算しています。奥様の基礎体温を併用すれば、かなり正確になると思います。ただし、万一かわいい赤ちゃんが出来てしまっても、当社は一切責任を負いません。

・・・・すばらしいです。ギャグで書いているのか本気なのか分かりません(特に、「Newしてください」なんてイカスじゃありませんか)。さて、ソフトが開始すると、メニューが表示されます。このメニューから「安全日を計算する」か、「今日の体位を決める」か「いきなりファックする」か「デモをみる」かを選択します。

安全日を選択すると、前回の生理などのことを細かく聞いてくるので、それに答えます。そうすると、安全日の情報が表示されます。なかなか信用できそうな感じです(絶対かどうかは知らん)。

次に今日の体位を選択すると、今日のセックスの体位を奥さん、だんなさん、コンピュータの誰が決めるかを選択します。コンピュータを選択すると、コンピュータがランダムに選択します。奥さんやだんなさんを選ぶと、すごい質問が出てきます。「今日はどこでやりたいか?」「今異常に興奮しているか?」「冒険的体位に挑戦したいか?」・・・など。しかし今異常に興奮していたら、こんなソフト立ち上げていないような気もしますけどね・・。

そしていよいよレッツファック!。今日は何分かけてセックスするかを入力すると、「スタートします。位置についてください」と表示されます。どういう位置につくのかよく分かりませんが、なにかあるんでしょう。そしてしばらくすると体位が表示されるので、その画面をみて同じ体位をしながらセックスします。冒険的体位を選択していると、初っ端からかなり難しい体位になりますので、ディスプレイを見ながらかなり思考錯誤が必要です(実際したことないので推測です)。

画面右下に時間が表示されており、経過時間とともに体位が次々と変わります。それにあわせてこちらも体位を変えています。ただし先に逝ってしまっても知りません。ただ、プレー時間をあまりにも短く入力すると、「それでは奥様がかわいそうです!」などすばらしい言葉が表示されます。


「コンピュータって何に使うの?」これは今でも聞かれる疑問です。コンピュータを使っていない人は、使わなくても別に不自由していません。ワープロだって絶対に必要なものではありません。表計算だってそんなに使いません。お絵描きだってしません。
しかし、このゲームのアイデアはどうでしょう? 今考えると非常にすばらしいものがあります。堂々と胸を張ってパソコンの使い道を言う事が出来ます。
しかも使う人まで明確に指定しています。パッケージに「新婚さんへの贈り物」とバッチリ書かれています。
もしあなたのだんなさんがとてもセックスが下手だったとしましょう。なかなか他人に相談しにくいでしょう。奥さんはどんどん欲求不満が溜まってしまい、家庭不和にもなり兼ねません。
そんな人たちにこのソフトは彗星のごとく現れました。当時このソフトを使った人たちは、きっとその画期的なアイデアにびっくりしたでしょう。新婚さんたちは夫のセックス下手のイライラから解放されたに違いありません。*1
これはコンピュータを使わないと絶対できないことです。「コンピュータを使って何をするのか」という議論に対して、明確なアイデアと実用性を持たせたソフトです。おそらく作者であろう、シブサワコウ氏のタダモノならぬ手腕に拍手を送りたいと思うのです。
ストロベリーポルノシリーズ(後にこのゲームが追加されるのですが)は、このあと「団地妻の誘惑」「オランダ妻は電気ウナギの夢を見るか?」と発売されていくのですが、これらのゲームには、アダルトに対する考え方を考えさせるような、完成度とこだわりが見られます。それは光栄が(シブサワコウ氏が)アダルトを「ただ裸が出ていれば売れる」という目ではなく、「アダルトでも立派なソフトは作れる」というなにか執念のようなもので捉えていたに違いないと思うのです(ただのエロオヤジという話もあります)。

*1 本当に使った人がいたら名乗り出てください。

「ナイトライフ」に関連するすべての画面写真、パッケージ写真の著作権は株式会社コーエーに帰属します。