アタックひろ子ちゃんby きたかZ氏


チャンピオンソフトより1983年8月に発売


チャンピオンの暗黒面見たり!

 「チャンピオンソフト」・・・実際にこのメーカーのゲームをされた事のない人でも名前くらいは知ってるでしょう。現在のアリスソフトの前身であるソフトハウスです。このメーカーは明らかに途中から大幅な路線変更が行われたのですが、その変更が行われる前にはすばらしい迷作の数々が存在しました。その中でも強烈な激臭を放つのが本作です。正直いって私、同じビックスマイコさん作品なら「慶子ちゃんの秘密」レビューにしときゃよかったとかなり後悔してます・・・

 さて、突然ですが「運だけゲーム」ってのは確かに存在します。「野球拳」などがいい例で3分の1という確率をあてる・・・ただそれだけの内容でも、ジャンケンという合理性によって形を変え、立派にゲームとして成立しているわけです。・・・しかし、ちょっと見方や言い方を変えるとどうでしょうか?・・・「私が1,2,3の好きな数字を選びます。何を選んだのかあてて下さい!チャンスは1回!ハズれたらゲームオーバー!さあどれ!?」・・・ってなゲームだったら・・・おそらくプレイヤーは理不尽さを感じるでしょう。それを地でいったのが、本作「アタックひろ子ちゃん」です。

オープニングで(伝書鳩で)届くペンフレンド・ひろ子ちゃんからの手紙・・・「私は今、高原のSummer School(なにそれ?)の寮に入って勉強しています。いつもお父さんはあなたにあわせてくれないのでこの機会に女子寮へ来て下さい。」・・・そんなわけでゲームはひろ子ちゃんの住む女子寮に潜入するところからスタートします。(前に私は「女子寮パニック」のレビューを書かせてもらったんですが、あの時の女子寮よりも数段狂っています。)

中に入るとそこは守衛室で、「ロッカー1」、「ロッカー2」、「サイドテーブル」、「ツクエ」・・・などのグラフィック記号で描かれた家具が9点並んでおり、「この部屋に合い鍵がある、ただし4回間違えると非常ブザーがなる。ガンバレ!」・・・いきなりコレです・・・無論隠し場所は乱数によって毎回変わるんですが、それにつけても理不尽です! (しかも、ハズした時のメッセージが、「あなたは大変努力しましたが、ひろ子ちゃんに会うことができませんでした。」と・・・ここまで神経を逆撫でされたらやり場のない怒りでカセットを壊した人も多いでしょうねえ・・・(勝手な想像ですが・・・)


嗚呼、麗しのひろ子ちゃん

鍵を見つけたらいよいよひろ子ちゃんの部屋(3F)に向かうのですが、目の前にドアが5つ・・・見ただけで、「さあ、あたりはどれ?」っていわんばかりです・・・ハズレの部屋の一つにはぞんざいなグラフィックで描かれた女の子が酒を呑んでいます。「あなたもつきあいますか?(Y/N)」・・・はい・・・「缶ビールだけですがいいですか?(Y/N)」・・・はい・・・「私の名前はアキナちゃん、ヨロシク!」・・・そういったかと思うと突然またドアの前までもどされます。(しかし、こういう無意味さも不自然だと感じないのも「チャンピオンマジック」なのかもしれませんね。)

 あたりのドアをひくといよいよひろ子ちゃんのお目見えなんですが、現れたひろ子ちゃんは・・・お世辞にもかわいいとはいえません、さりとて不細工ともいいきれない、なんとも「微妙」なお嬢さんです・・・この女(ひと)のために頑張れっていわれてもなあ・・・(まだいっそのこと、思いっきり不細工だった方がやりがいがあったのではないでしょうか?)

しかもいきなりなにをいいだすかと思えば、「私の一番好きな趣味を知ってるかしら?3回以内であててね。(ホシウラナイ、タカラクジ、レコード・・・(その他7つ)」・・・またですか・・・見事正解すると上着を脱いでくれるんですが、次の質問で脳の血管が切れそうになりました、「あなたの一番好きな趣味は何かしら!私の思ってることと同じかしら。あててね。3回以内だわ。(ケイバ、パチンコ、マージャン・・・(その他7つ)」・・・なんとか答えられたら下着を取ってくれ、ただひとこと、「たのしかったわ、ありがとう。(OK■)」と、プレイヤーを完全にほったらかしにしたエンディングです。「ゲームをクリアした」という達成感より、「呪縛がとけた」解放感に強くひたれることでしょう

 なんといってもこのゲーム、「バカさ加減」においてはかなりの高得点です。また理不尽にプレーヤーを不愉快にさせる稀有なゲームでもあります。男に媚びた惰弱なえっちゲームにあきた人には、いい清涼剤(?)になるかもしれませんね。ただ高血圧気味の方はご遠慮下さいますよう・・・

(余談ですが、「北尾」がまだ「双羽黒」のころ、テレビの「有名人のお部屋拝見」みたいな番組で、6001mk2でこのゲームをやっていたのを放送していました。訪問したアナが、「わあ、横綱はお部屋に戻るとマイコンでひろ子ちゃんとデートなんですねえ!」っていってたのが、私の脳にこびりついています。このゲームをやってったのを全国放送で(しかも6001で)公表した北尾さん、あなたは男の中の男です!尊敬します!ファンじゃないけど・・・)

文章:きたかZ氏

「アタックひろ子ちゃん」に関連するすべての画面写真、パッケージ写真の著作権はチャンピオンソフト(現:アリスソフト)に帰属します。