女子寮パニックby きたかZ氏
エニックスより1983年6月に発売
私たちの知らない世界
全男性の中で、女子寮に入ったことのある人ってどれくらいいるんでしょうか?想像ですが、100人中1人いるかいないかってとこじゃないでしょうか。つまり、そういった閉鎖空間であるがゆえに作者にとっては、「ある程度なにを書いてもかまわない(わからない)」んですが、書きすぎてしまうと誰の目からみても「やりすぎ」になるわけです。本作もそんな、「やりすぎ」た女子寮が舞台の作品です。
作者は「槇村ただし」さん・・・88えっちゲームファンでこの人の名前を知らない人は少ないんじゃないでしょうか?ダイナミックプロの方で、代表作は、「エルドラド伝記」、「ガンダーラ」。古本屋さんにいけば「真樹村正」のお名前で、たまーに単行本もお見かけします。
さて、オープニングなんですが厳格でしつけのきびしい女子寮で生活するヒロインのロムちゃん(けっこうかわいい、でもなに人?)とのデートを、寮のガードマンに見つかってしまい、ロムちゃんを寮に無理矢理連れ去られてしまいます。何も出来ずにボーゼンと立ちつくす主人公(プレイヤー)・・・しかし、ロムちゃん奪還のため単身女子寮にのりこむことを決意!寮に仕掛けられた多数の罠をかわして、ロムちゃんを奪い返すことが出来るか!?ってな内容です。(しかし、寮母さんならともかく、ガードマンにそこまでの権限はないと思うんですけどねえ・・・ま、いいけど・・・(しかも、このガードマン、寮にだけでも推定30人は住んでおり、「女子寮」というよりはほとんど「ガードマン寮」です・・・ま、いいけど・・・))
ゲームは当然女子寮に潜入するところから始まるんですが、潜入の際、左右をキチンと確認しないと車にハネられ即死します。(筆者は教習所での初日を思い出しました。でもこんなのは序の口で、このゲームには「即ゲームオーバー」が多数存在します。(しかも、コンティニューはなし!))
・・・気を取り直して潜入に成功!どうやらロムちゃんは5階建て寮のどこかにいるようで、その手がかりを捜さなければいけないんですが、各階には10室づつ部屋があり、エレベーターは故障している(1階づつしかあがれない)うえに電源が抜かれているため各階で電源を確保しつつ1階づつエレベーターであがっていかなければなりません。(なら階段でいけよ!)
「ダイナミックプロ」のようにダイナミックにいこう!
重要な部屋(電源のある部屋など)には、鍵がかかっており、部屋はそれぞれ鍵穴からこっそり覗いてから入り込むわけですが・・・鍵穴から女の子(なぜか裸)が見えることもあり、中に入ると女の子の他にもオカマだったり、バアさんだったり、ブスだったりします(ここらへんはダイナミックプロのノリ大爆発でファンにはこたえられません)このゲームの女の子以外のキャラは実にぞんざいに描かれており、おまけに色も原色の8色(黒~白)しか使われていないためおそろしく不気味です。
・・・で、そうこうしつつ各階で鍵を入手し電源を確保してから次の階へ進む・・・のくりかえしです。ただ注意しなければいけないのが、潜入していられるのは所持してる懐中電灯の電池が残ってる間だけです。ゼロになればゲームオーバーなんですが、電池(ナショナル製)がころがっている部屋もあるので、補充すれば残り時間がプラスされます。(ただこの電池はコマンド入力の度に減るのではなく、タイム制で減るので速いマシンでプレイするとほとんど意味がありません。ですんで上級者はV1-Sモードでプレイされるとよいでしょう(もっとも上級者であるからって何の自慢にもなりませんけどね・・・))
階が進む度にトリックは意地悪になってきます。中でも特に4階のトリックは秀逸で、プレイヤーのスケベ根性を逆手にとったものです。(ネタバレになるため書けないのが残念です)・・・で、紆余曲折の末ロムちゃんを発見!ここからが寮からの脱出なんですが、屋上にとまってるヘリコプターを発見!これで脱出です!(ダイナミックですなあ・・・)プレイヤーとロムちゃんは一路、プレイヤーの自宅へと向かいます。(ヘリコプターをどこにとめるかはいいっこなしのようです)
ラスト直前の選択
自宅に戻るとロムちゃんはお風呂を貸してくれといいだし、そのまま中にはいっていきます。当然プレイヤーも後からいそいそ覗きに入るわけですが、中に入ると仰天!赤、緑、黄の3つのバスルームがあり、しかも3つとも女性の影がみえます。・・・ここってプレイヤーの自宅のはずです。トイレが3つある家は知ってますが、バスルームが3つある家は見たことも聞いたこともありません。しかもロムちゃんはともかく、あとの2人はいつどこから入ったのか・・・カンのいい人ならあとの2人の正体はだいたいの想像がつくことと思います。・・・でも最後の最後にこんな「運だけ3択」ってありでしょうか・・・?(ハズレだった時は、当然ゲームは終わりです。軽い殺意さえいだくことでしょう(笑))
しかし!うまくロムちゃんのいるバスルームに入ることが出来れば、彼女は寝そべってプレイヤーを待っていてくれています・・・「あなたの来るのをこうして待ってたの・・・」ときたもんです。「ロ・・・ロムちゃん・・・」と、ややどもり気味に挑みかかるプレイヤー・・・その時画面が真っ白になりメッセージが・・・「はいここまで!日本の法律ではここまでです!(警視庁)」・・・強烈な脱力感と共にゲームはハッピーエンドをむかえます。(笑)
総合的にみてこのゲーム、テンポがよく、コマンドも単純で非常によくできたゲームです。ただ、プレイヤーに有無をいわせないダイナミックなところが多く、それさえ気にならなければ現在でもまだ十分楽しめるゲームといえるでしょう。
(余談ですが、全裸でしかも原色(黄色)でプレイヤーに迫ってくるオカマやバアさんは夢に出てくるほど峻烈です。もしこれからプレイされる方がいらっしゃれば、心のベルトをしっかりしめてからプレイされるようお願いいたします(笑))
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文章:きたかZ氏