ぱのらま島 by からて氏
日本ファルコムより1983年12月に発売
日本初と言われた本格的大容量RPG誕生!
1983年、日本のRPG界の未来を予感させるゲームの登場があった。ぱのらま島…のちの天才プログラマー木屋氏が手がけたRPGの第1作目である。当時としては珍しいフロッピーディスクを使用しての大容量ゲームであった。フロッピーに詰まった300Kバイトを越えるプログラムの中には、国産RPGの出発点と思える輝かしい世界が待ち受けていた。
ここは「ぱのらま島」と呼ばれる人類と悪魔の最終決戦の場、世界の果てにあると言われる小さな島である。このゲームはプレイヤーがぱのらま島に辿り着いたところから始まる…。
今回はいきなりり座談会
A:謎の語り屋からて氏
B:なじょのライター市川氏
A な、なんだなんだ。今回はゲームの説明はほとんど無しにいきなりこれかい。(*1)
B いや、というか既に市川様とおっしゃる天才ライターがこのゲームの完全攻略法なるものを書いてしまっているそうなので、今回はこういうな形になったそうです。
A ああ、あの変態ライターか…。
B な、何を言うんですか!あの方の悪口は許しませんよ!!
A ごめん。悪かったよ、市川くん。
B ・・・・・・ゲホ、ゴホ
*ぱのらま島って面白かった?
A ところでこのゲーム、面白いと思うか?
B 思いません(きっぱり)。
A げ…。そ、そうか。コラムの熱の入った文章とは随分とギャップのある意見だな。
B いや、でも書いたじゃないですか。「面白いかどうかではなく、好きか嫌いかを私は重視する」って。
A じゃ好きか?
B パッケージがカッコ良くて最高です。
A ………あのさぁ。
B ………なんか考えてみると自分でも分からなくなってきました(冷や汗)
A そ、そんな愛の冷めた元彼女を見るような目をするなよぉ~。
B でもなんか…。
A と、とりあえず話を進めよう。な!(焦り)
B はい…(自信喪失)
*嗚呼、馬鹿馬鹿しきゲーム哉
A しかしこのゲームのシステムは今からすれば変わってるよな。まぁまだRPGが国産ではほとんどない時代だったからなんだろうけど。
B ええ、でも個性的ではありますよね。これ以降のRPGっていうと大抵は経験値があってレベルがあって…なんですけど、このゲームにはそういったものがないですからね。
A うん。それだけに全体も変わった出来になってるよな。やっぱり個性的というか。
B 例えば食料を得る方法が、リンゴやなぜか肉が実ってる木を蹴飛ばすと落ちてくるとか。しかも防御力がないウチは落ちてくるものが当たらないところを勘で選ばないと、落ちてきた食料でダメージを受けるとか…。
A う、うむ。あれは実にバカバカしいシステムであった…。
B そうですねぇ…。
A まぁ置いといて、次いこう。
B 他にはどんなところが面白いと思いました?
A 町の中にドロボウがいたりとか。
B ありましたねぇ。でも僕としては、あれは純粋にいらなかったと思うッス。邪魔なだけでしたね。
A そ、そうか。お前は他に面白いと思ったとこはあるか?
B 城に入るとフンドシ姿のおっさんが徘徊してたりとか。
A た、たしかに素晴らしい個性的なキャラではあったな。
B あれも世界観くずしてて要らなかったっス。
A う、うん。そうだね。
B オマケにあの訳のわからんホテルはなんだったんでしょうねぇ。3Dダンジョンみたくなってるくせに全然関係ないし。
A きっと木屋さんがやってみたかったんだよ、うん。
B バッドエンドの時に見られる、ピラミッドから落っこちる時に空を飛んでるあのUFO。ありゃなんなんですかねぇ。
A いや、あれはきっと「悪魔達は宇宙から来た侵略者」という設定を裏付けるものなんだよ、うん。
B 作り直して欲しいです。
A な、なんか今日のお前、随分と手厳しいな。もしかして今日は生理…?
B 愛のムチです。このゲーム好きですから。それに僕は男です。
A でもさぁ。寿命を全うしてすでに昇天してるような歳のゲームなんだからさぁ…もうやすらかに眠らせてあげても…。
B 甘やかしてはいけません。
A (今日のこいつ怖い…)
B ん?
A あ、いえ!なんでもありませんよ先生。
B ケッ
A 帰りたい…(涙)
*でもやっぱ凄いよ、このゲーム
A でもさぁ。たしかに変なゲームではあったけど、俺が凄いと思ったのはあの当時ですでに3Dダンジョンのオートマッピング機能があったという点かな。あれは凄いよ。
B まぁたしかに…。酒場のネエちゃんに合い言葉を言うとレーダーをくれるんでしたよね。それがあるとオートマッピングになると。
A うん。でもそれ以前に、やっぱりあのゲームも”名作の条件その1”(*2)である「全体的なまとまり」という点で俺は優れてたと思うぞ。町の数やダンジョンの数、でかい城を越えて最終決戦の場へ。そして最後のピラミッド…理想的ではあるな。こじんまりとしてたけど。
B ええ、しかも同じような意味のない町がたくさんあるんじゃなくて、町によって物価が違ってたりとか、その辺もしっかりしてましたよね。売る時はこっちの店、買う時はこっちの店とか。お金を預けられる銀行がある町もあったし。よく出来てましたよね。
A そうだね(機嫌が戻ってホッとしてる)。あの銀行ってシステムも凄いよな。ドラクエでは3でやっと出てきたようなシステムなのに。
B やっぱ名作っすね。
A そうだよね。このゲームはやっぱり凄いよね、うん。
B でも使うキーが今では違和感を覚えますよね。今では当たり前にスペースキーを使うようなとこでHELPキーを押すとか…。
A (いかん!なだめねば)とんでもない。スペースキーを使わないってことはテンキーだけでゲームが出来るってことぢゃないか。素晴らしいアイデアだよ。うん
B …?あのゲームはウルティマみたくEキーで「入る」、Sキーで「探す」みたいにコマンド型なんですけど。
A zzz ZZZ ZZZ....
B ケッ
A いいぢゃない。操作法くらい…(涙)
*最高にかっちょ良かったパッケージ。
A しかしなんというか。あの当時のファルコムのパッケージは凄かったよな。パッケージを見るだけで凄く面白いゲームに感じてしまうから不思議だ。
B でもあのパッケージはやりすぎですよ。ゲーム内容と全然合ってないじゃないですか。そもそもあの女性と後ろの怪物は何なんでしょうねぇ。唯一ゲームと同じなのがバックのピラミッドだけってのもねぇ。
A いや、でも俺なんかは最初にパッケージを見て憧れたからなぁ。想像を膨らませてからプレイしたから、やっぱりそれなりにゲームも面白いと思えたし、パッケージイラストとイメージが重なったよ。
B 全然内容と違うと思うんですが…。
A む、お前は重要なことを忘れているぞ。
B ?
A あの当時のゲームに見た目の素晴らしいゲームがあったか?イメージを膨らませるカッコ良い音楽が存在したか?つまり結局のとこだな、あの当時はプレイヤーの想像力に全てが委ねられていたわけだ。
B まぁそれはそうですが…。
A グラフィックでイメージする人もいただろう、世界設定でイメージする人もいただろう。俺はパッケージイラストでぱのらま島の世界をイメージした。だから俺にとっては存在しない美女がイラストに描かれてても、存在しないカッコ良い怪物が描かれていても、それは関係ない。全てはぱのらま島の世界をイメージする材料でしかないわけだ。だから俺にとってぱのらま島の世界とは、あのカッコ良いパッケージイラストの世界なのさ。
B はぁ…。でも出来ればあの美女、登場して欲しかったでしょ?
A う、うむ。でもきっとどこかにいるのさ、あの美女は。
B ぱのらま島で出てきた女の人といえば…ハッ。
A ま、まさかあの怪しげな町にいた風俗街の大股開き女!!げげー
B い、いえ。きっとレーダーをくれた酒場のネエちゃんですよ(汗)
A うん…きっとそうだよね(涙)
*最後に
A というわけでこのゲームの座談会はこのくらいにしとこうか。
B なんか長い割には全然まともなこと話してないですねぇ…。
A だってなんか今回のお前、随分と非協力的なんだもん(怖いし)。
B 愛のムチです。
A むぅ。まぁ改めて聞こう。このゲームは面白かった…いや、好きか?
B ん~…そうですね。やっぱりそうとしか言えませんよ。
A よかったぁ~(感涙) これでやっとシメに入れる。いつも通りにこのゲームのリニューアルを求めるのはまぁ不可能だわな。てなわけでお前が前に独自に制作していた「リバイバル・ぱのらま島」はどうなったか聞きたいねぇ。
B プログラムが面倒で止めました。
A ど、どーして!88でぱのらま島の全リストをプリントアウトしてまで頑張っていたぢゃないかぁ!!
B 解析だけで疲れましたよ。んじゃあリスト渡しますから作ってください。
A zzz ZZZ ZZZ.....
B ケッ。さて帰るか。
A 今回の僕って…(涙)
(*1) ちなみに座談会には毎回この二人が登場している。「ザナドゥ」「夢幻の心臓」のレビューを参照のこと。
(*2) この二人が毎回唱える名作の条件。「全体的にまとまりがある」というのがそれである。
オマケ・コラムとこれで完璧さ。ぱのらま島、徹底攻略!!
パノラマ島へようこそ。我々が、汝を呼んだのは他でもない。
我々人類の育ち始めたこの世界を汝の力にて、救ってもらいた
いのだ。人類はあまりにも弱すぎ、その為 いつも悪魔達の思
い通りに働かせられ続けて来た。いかなる理想郷も、それら悪
魔達により、荒廃し破滅へと導かれ、岩と砂に還元されてしま
った。ぱのらま島は、滅亡から生き残った人々の最後の地であ
り、人類と言う種族の最後の希望なのだ。気高き汝よ、我が人
類を邪悪な悪魔達より救ってくれる事を、私は望む。
司政者 ハル
■移動コマンド
平地 | 7 8 9 | 街 | 8 | 迷宮 | 8 |
4 6 | 4 6 | ||||
1 2 3 | 2 | 2 |
■コマンド
"A"ttack | 誰かと、あるいは何物かと戦う。誰にでも戦いを挑むのは、必ずしも賢明とは言えません。 |
"C"ry | かなり遠方まで届く様な叫び声を出します。よく"J"umpと併用したりします。 |
"E"scape | 素通りしたい時、かかわりたくない時、逃げたい時など、このコマンドはいろいろ使い道があります。 |
"F"ood | おなかがすいたら食べましょう。ただし、食卓がどこでも広げられるとは、限りません。 |
"G"ive | 買収金などとして金塊を差し出します。受け取る相手が、その代償をくれるかどうかは定かではありません。 |
"I"nventory | 自分の持ち物を見ます。ただし数量は表示されません。しかし、見える物は最低一つはあると言う事です。 |
"J"ump | どうしょうもない時は、跳び上がってみるもの行き詰まりから抜け出すのによい方法です。しばしば、"C"ry と併用したりします。 |
"K"ick | 頭にきた時は、蹴っ飛ばすに限ります。ただし、その結果自分が怪我をしても、誰もかまってくれません。 |
"L"ook | 注目します。ただぼっと眺めていると、じっと注目するのとは、眼の疲れ方が違います。 |
"S"earch | 必要な物を探します。望む物が見つかるかどうかは、執念の度合いによって違ってくるでしょう。 |
"T"alk | ぱのらま島の世界の人々と対話する唯一の方法です。戦闘で勝つためのヒントなどは、彼等と対話することでしか得る事が出来ませから、いろいろな人に話しかけてみるべきです。ただ、相手がいつも親切とは限りません。 |
"U"se | 持っている道具の中で、その場に適したものを自動的に選び使用します。 |
"Y"es / "N"o | あなたが、誰かに問いかけられたときに、対する答えです。 |
"W"izard | もし運良く魔法を入手することが出来たとき、このコマンドは、貴方にとって非常に役立つことは間違いないでしょう。 |
■古文書の一文から抜粋
聖なる石を持つ者に、願わくば神の守りがあらんことを。
全ては聖なる石を手にすることで始まり、全ては聖なる石を手 にすることで終わる。
命ある者は、全てが恐れおののくであろう。悪魔の中の悪魔が ここに目覚めるからである。
それは、3つの名を持ち世に現れ、その邪悪な力で、その苦し き呪いに満ちた口で、その血の汚れた三つ又の鉾で、その生き とし生ける者を滅ぼさんとす。
聖なる力を持つ者よ、汝は、汝の聖なる剣と、汝の大いなる鎧 にて、それを滅ぼさねばならぬ。
が聞け、聖なる力を持つ者よ。それが汝により滅ぼされた時、 汝は悩み、苦しむであろう。それは汝に滅ぼされ姿なき者とな り、4つの名において、汝を滅ぼさんとするからである。
聖なる力を持つ者よ。汝の恐れを怒りに変えよ。汝の眼と、聖 なる者にたずね、姿なき者を虚無へ葬らねばならぬ。
合わせて7つの名が滅ぼされた時、聖なる声は汝に告げよう。 滅ぼされた者の中心を邪悪なる聖域、汚されたる、死者の床に 見い出さんことを。
■ぱのらま島の住民の言葉
*街に入る時は電訳機がいる。
*ピラミッドの頂上は危険
*洞窟へはライトを持っていけ
*酒場にいる仲間がレーダーをくれる
*恐竜にはエサをやれ
*城のおっさんに金をやると地図をくれる
*街で休み力を蓄えなさい
*街では泥棒に気をつけなさい
*刀は7本集めなさい
*城に行き賢者の石を手に入れなさい
*酒場ではまず一杯やることです
*合い言葉は”パスワード”だ
*城の兵に勝つには鎧を着なさい
*マジカルドゥは物価が高い
*パワードスーツを手に入れなさい
*金貨を街で預金するといいよ
☆後半
*魔物を全て倒せば終わりは近い
*魔法を使い敵の位置を見よ
*呪文を知るにはドラゴンマウスへ
*ミナクスは石に力を与える
*魔法は強い敵に有効だ
*魔物に出会ったら相手をよく見よ
*魔法を知らなければ勝てない
*戦いには石の力を使いなさい
*魔物を滅ぼしアジアンタを求めよ
*沢山の物を持てば失う物も
*石の力を失ったら再び城へ行け
*ミナクスは2匹の魔物が護る
*オーク、デビルをまず倒せ
超お得情報ダンジョン完全MAP
エピローグ
人々が20世紀と呼んでいた時代です。もはや、人類の荒廃は頂点に達していました。都市には、人々と無気力と破壊が拡大し、それを治めるべき政治家達も、最後のボタンをなでまわしているばかりで、何も改善しようとはしませんでした……。そして最終的には、憎悪の炎により灰となり果てたのです。夢もろとも………。
陽は昇り、そして沈み、再び昇る………。
彼は歩いていました。永遠に続くかのような、砂ばかりの地を、彼はその弱々しい身体に、1枚のボロ布以外のものは、何ももっていませんでした。彼は永遠と思えるくらいの昼と夜を感じ、やっと遠方に、陽を受けて光り輝く、それに出会いました……。かつて仲間と共に、造り上げてきたそれ……。あの大破壊で、仲間は失われましたが、しかし、彼らの標は昔のまま残っていたのです。彼は、固く閉ざされた門を開き、もはや、思い通りに動かなくなってしまった肉体を引きずり、それに向かって進み、そしてスイッチを押す事が出来たのです。残念ながら、その彼は、名前も伝えられないまま、時の旅人となってしまいました………。
古文書は、しかし、世界の始まりを、こう伝えています。「今ここに、大いなる者は生まれる。大いなる創造者を越え、その智は大地にくまなく広がり、その魂は人々を呼んだ……。」(ゲームエンディングより引用)
制作者より(マニュアルより引用)
ぱのらま島は、単なる想像の世界に過ぎない!貴方、そう思わますか? 我々は、そうは思いません。何が現実で、何が空虚なのか、誰がはっきりと分類できるのでしょうか。今なんとなく、このマニュアルを読んでいる事が、実は夢だとしたら?日頃、話をしている友人が、実は、自分の意識の投射だとしたら? 我々は、現実と言う虚像にふりまわされている!?とは言えないでしょうか……………。
ぱのらま島の世界は、確かに虚界なのかもしれません。そう、プレイする一人一人の心の内側に、きっと、ぱのらま島の世界が存在しているに違いない。我々は、そう確信しているのです。
-日本ファルコム-
文章:からて氏
「ぱのらま島」に関連するすべての画面写真、パッケージ写真の著作権は株式会社日本ファルコムに帰属します。