アゲイン by 平井氏


エニックスより1984年12月に発売


マルチエンディングゲーム

マルチシナリオ・エンディングの元祖といえば、『タイムトンネル』が思い起こされるが、更に細かく設定され、ある意味はっきりとしたマルチシナリオ・エンディングのシステムを搭載したのは、今回紹介する『アゲイン』ではないだろうか。

プレイヤーは精霊になるための修行として、人間界で人生の経験を積むのだが、まあそんなバックストーリーはどうでも良い(逝)
メインとなるシナリオ数は7つ。だが至る所に分岐点があり、なかなか思うような人生を歩めない。現実っぽいと言えば現実っぽい。・・・本当か?(逝)

このゲームの特徴は、ただ単にシナリオだけ分かれているのではなく、AVGをベースにしながらも、分岐したシナリオによってはRPGやパズルゲームになったりする。各シナリオ自体はそんなに長くはないが、色々とある分岐で悩むのでそれなりに時間は掛かる。

制作者の観点から考えると、色々な物をゲームに盛り込みたいので、マルチシナリオ・エンディングに辿り着いたという気がしてならない。おそらく誰もが、1つのゲームの中に色々なゲームが入っていたらと思うはず。それを遊べるレベルまで高め、実現させたという点でこのゲームの評価は高い。

ただ、AVG以外の部分では、ゲームバランスが悪い点があるのは否めない・・・。RPGのシーンは、派閥争いに巻き込まれて飛ばされた地で、石油を掘り当てないと帰れないというシナリオなのだが、石油が出る場所は反乱軍?がいる砦だけと決まっており、反乱軍を倒して砦を手に入れるには、軍隊をお金で買わなければならない。このお金を稼ぐためには、そこら辺を歩いている娼婦や旅人などを突然攻撃! つまり人影を見つけたら速攻攻撃! しかもレベルが上がってくると、ケンシロウ並な強さになり、一介のサラリーマンが殺戮しまくっています!(逝)

しかも軍隊は、自分の国を守るためではなく、ただのサラリーマンが金を使ったお陰で倒しています。この国は大丈夫なのでしょうか?(逝) それともパブリーな日本の未来を予期して、このシナリオを作ったのでしょうか?

そして石油を掘り当て無事日本に帰ってくると、部長になれますが・・・。でも、石油を掘り当てたんですよ、スコップとかで! もっと上を狙えるでしょう!(逝)
しかも、刃渡り20センチはあるような剣を振り回してくる敵を叩きのめせるぐらいの力を持っているんですよ? なぜ自分を飛ばした奴を血祭りに上げませんか?(逝)

また医者の人生を歩むシナリオでは、手術開始と共に患者が死んでしまって、手の施しようがないパターンがやたらと多い(逝)
制作者も判っていたのか、ここは失敗するとやり直させてくれます。ランダムにしたためにこういう事になったんだと思うんだけど、もうちょっと考えて欲しかった部分ですな。

しかし、このようなマルチシナリオ・エンディングを少ない容量でまとめ上げ、各シナリオとも違和感無くプレイできるというのは、ちゃんとした構成を作ってから制作をしたと思われます。個人で制作していながら、この内容は素晴らしい!
今現在、爪の垢を煎じて飲まして上げたいメーカーが居ますな(逝)


<文章:平井氏>

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