道鏡 -下半身で歴史を作った男-by きたかZ氏


CSKより1984年1月に発売


超マイペースメーカーの暴走

いきなり書くのもアレですが、CSKさんはかなり特殊なメーカーさんです。東映作品を中心に、「仁義なき戦い」や「新幹線大爆破」など、邦画ファンなら男泣きする硬派な作品を作ったかと思うと、「悪女かまきり」や「温泉みみず芸者」、「卍」、「大奥マル秘物語」など、レンタルビデオ屋にもちょっと置いてないようなマイナー映画までゲーム化してくれました。(他にも、「脱出、妖気の樹海」などの意図不明なゲームもあるんですけどね・・・)しかし、いくら15年ほど前とはいえ、いったい購買層を何歳に設定したんでしょうか甚だ疑問です。とにかく全力ダッシュのマイペースさでは比類なきメーカーであることは間違いないでしょう。

で、本作の「道鏡」の場合は、CSK作品の中でも特殊なポジションで東映映画を原作にしておらず、かつ「プレイヤーおきざり度」が群を抜いて高い・・・いうなれば、CSKファン(今、いるのか?)なら絶対にやらなければならないゲームのひとつです。(断言)

さて、カンタンな内容ですが、主人公の道鏡が女帝とナニしつつ、最大の政敵「和気清麻呂」(註:正直でマジメな人)を呪殺するというのが目的のピカレスクロマン(ほめすぎ)です。

主人公坊主なんですが、いわゆる「ナマグサ」というやつで、オープニングでいきなり仏さまに立ち小便・・・「俺は道鏡だ、神も仏もあるものか!」(ここでアニメ(・・というほどのものでもないが・・))「いてっ!蜂が俺の×××を刺しやがった!」・・・こうして伝説の巨根を手に入れた道鏡のサクセスストーリーがここからはじまると・・・しかし、これほどまでにプレイヤーをおきざりにしたオープニングも珍しいです。88ゲーム史上、いやゲーム史上に残る名オープニングといえるでしょう・・・(これもほめすぎ)

(しかし、「道鏡の巨根伝説を元に、大胆な仮説を導入してゲームにしました。」とあるんですが・・・CSKさん、いくらなんでも大胆すぎます・・・)


教科書が教えてくれない歴史

ゲーム内容はあいかわらずのCSK節なんですが、随所に努力のあとが見られます。時代考証を意識してか、文章を縦書きにするとか(とはいえ、全部カタカナなんですから縦も横もないと思うんですが・・・)難易度も解答に若干の歴史的知識が必要なため高いと判断したのか、間違った時の救済措置として、「恐怖の歴史クイズ」が用意され、これに正解するとゲームに復帰出来るというものです。(しかし、このクイズ、「道鏡が太政大臣になった年は西暦何年か?」など、とても即答できるクイズではないため、あまり「救済」になっていないのもまた事実ですが・・・)

 コマンドもあいかわらずで、「女帝と二人きりになるため、女官をさがらせる理由を入力して下さい」だの、「女帝に触るキッカケを作ってください」だのと、ネタバレになるため答えは割愛しますが、すべてにおいて「なんじゃいな、そら」と嘆息せしめる答えであることは云うまでもありません・・・

 さて、ゲームもいよいよクライマックス。女帝と二人きりになったらあとは女帝との「えっちバトル」(苦笑)が始まるんですが、その間に政敵・清麻呂を呪い殺さなければなりません。しかもその時間は、「女帝がハフンハフン状態で失神している間だけ」です(笑)・・・ですんであらゆる体位で責め立て、何度も失神させる必要があるわけです。(無論、体位の入力を間違えると「クイズ」が始まるのも云うまでもありません)でもまあ、失神しては求め、失神してはまた求め・・・の女帝も相当なもんですけどね・・・
 てなわけで、見事清麻呂を呪殺すれば最高権力者に登りつめ、ハッピーエンドなわけです。しかし前にレビューを書かせていただいた「ラブスコア」の時もそうですが、CSKの精神破壊的作品群はとても文章では書き尽くせないものがありますんで、今となっては遊べる機会はほぼ皆無かもしれませんが、実際にプレイされることを強く強くお薦めします!脱力で一日の約半分のエネルギーを無駄に消費することうけあいです!

(余談ですが、ゲーム画面中の道鏡はどっからどう見ても、笑福亭鶴瓶さんにしか見えません。ですんで、鶴瓶さんだと思って(ついでに女帝は「由紀さおり」あたりだと思って)プレイすると感情移入もヒトシオかと思います。(だからどうしたと云われても困りますが・・・))


文章:きたかZ氏

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