アステカ by 市川氏
日本ファルコムより1985年2月に発売
アステカとは
瞬間画面表示、それはかつてのADVゲーマー達が熱望していた機能であった。その第1弾として日本ファルコムは「デーモンズリング」を発表。脅威の技術であった。そしてその第2弾として登場したのがこの「アステカ」である。
中南米に眠る巨石文化、マヤ、インカ、そしてアステカ…。この3つの文明はまったく同じような予言のとおり、同じ時期に同じスペイン人により滅ぼされてしまった。彼らの先祖の祖国はアトランティスであると云う人々も多い。そうだとすると、プラトンの語ったアトランティスの滅亡をのがれ、世界中に散ったと噂される民達のグループの一部が彼らの先祖なのか?
謎はあまりにも多すぎる。しかし、彼らは他の文明を拒むかのような地域に栄えたのは、彼らがあまりにも高度な何かを知っていて、それが自分たちより未開の民族により乱用されない様、そしてかつての蛮族が真の発達を成しえた時、ようやく明らかにすることが出来るようにする為だったとも考えられないか?
もしそうだとしたら彼らは何もかも計算ずくでその鍵をあちこちに配置したに違いない!
そしてその一つでも得ることが出来たとしたら…。全ての謎を手に入れるマスターキーを手に入れたと同じではないだろうか?
……旅立つ直前だった。私は、メキシコの片田舎にある遺跡で、数日前から発掘調査が行われているらしいという噂を聞いた。そこがこれから向かうパレンケである。いざ、アステカ文明の謎に挑戦!
とか言ってるけど
ところでこのゲームも当時のファルコム芸であるパッケージイラストとゲーム内容のギャップに例外なく、壮大な世界を想像するのは止めておいた方が良い。私は想像したものだ「きっと最後には、あのパッケージイラストにあった石像がで~んと構えている遺跡の最奥部に行って、そこで凄いドラマが待ち受けているに違いない!」と。今でもエンディングのねえちゃんの裸体を見ながら抱いた恨みを忘れていない。
なんか随分と大層なプロローグだとは思うけど、実際のゲームはどうだったのか?正直なところ、アステカ2である「太陽の神殿」に比べてスケールは随分と小さい。最後もなんかよく分からないけど、ヒスイを取っておしまい。あのヒスイは一体…?あれがプロローグにある古代の謎を解く鍵の一つだと言うのだろうか。だとしても、せめて「太陽の神殿」のエピローグのように、なんかの仮説の説明は欲しかった。
システムは斬新だったけど
このゲームのシステムに回想シーンというものがあった。今まで通ってきた画面を見ることが出来るもので、これによってマッピングの手間を極力減らそうというものであったらしい。とはいえ正直なところ、あんまり意味がなかったのではないか…と思える、このゲーム限りで消えたシステムであった。他にも、何もコマンドを打ち込まずにただリターンを押すとグラフィックが消え、今まで打ち込んだコマンドが少しだけ見れるというシステムもあったが、あれもどれだけの意味があるものだったのか?未だに疑問である。やってることはたしかに斬新だったとは思うんだけども。
でも挑戦心あふれるこのシステムには素直に拍手をしたいと思う。あの新たな
試みこそがファルコムの力であったと思うからである。
なんかメリハリのない展開
今から思い返しても、このゲームについて印象に残っているシーンというのが無い。盛り上がった場面もない。よーするにダラダラとした展開が続くのだ。この続編である「太陽の神殿」と違い、ただ純粋にアステカ文明の遺跡のある町に行ってうろつき回るだけ。別の言葉でいえばあまりにも展開が「リアルすぎた」といえる。あれが現実の旅だったらさぞかし夢のあるアドベンチャーだっただろう。しかし当時のマシンでその夢を見させるのは、あまりにも無謀すぎたと言えるのかもしれない。
というわけで
パソコンの表現能力が当時とはケタ違いの今こそ、この作品をWINDOWS
で出すべきである。さぁ皆さんご一緒に。
「アステカ」に関連するすべての画面写真、パッケージ写真の著作権は日本ファルコムに帰属します。
「求む!リバイバルアステカ」
いや、でも想像してみると本当に面白いゲームになると思うよ、これ。
<文章 市川氏>