ハイドライド3 by 若林氏
T&ESOFTより1987年11月に発売
概要
ハイドライド2から1年、創立5周年記念作品として大々的に発売。200階建ての塔を含む300画面以上の広大なマップ、時間とそれにともなう食事/睡眠の概念の追加。シリーズ初のBGM。何より広告掲載のグラフィックスが綺麗であった。
戦闘が楽しい!
なんといっても、戦闘が楽しくなった。これは大きい。攻撃手段が体当たりからスペースキー連打になったことで、テンポが非常に良くなったし、ちまちました感じがなくなった。また、アイテム「戦士の石」の存在/出現タイミングも良かった。スペースキーが連射になる、というアイテムなのだが、戦闘が圧倒的に楽になり、非常に気持ちが良かった。また、強く壁抜けのできる通常武器/長距離攻撃のできる飛び道具、2系統の武器の存在も悪くない。「聖なる剣」で壁越しにモンスターを倒していくのは、陰険ではあるが快感であったし、協力な飛び道具「偉大な弓」でヘビースライムを倒すのは爽快であった。
時間/重量制限の影響
このゲームでは、時間によって風景が変わる。それ自体は演出として非常に良かった。しかし、「食料を消費する」「寝ないと弱くなる」といった設定は、「めんどくささ」を生んでしまったのは確かである。しかし、それらによる「生活感」は私にとってはあぶなっかしいところではあるが、醍醐味となり得た。「どちらがよかったか」といわれれば、「時間の概念はあるけれど、食べない/寝ないことによるデメリットはない」のがよかったのかな、とは思うが。
もう一つプレイヤーへの枷として存在する概念に「重量」がある。レベルごとにアイテムを持ち運べる総量に規制があったのだ。アイテムはお金を含めてすべての重量を持っている。戦闘を繰り返すと小銭が貯まり、それを「両替機」で軽くする必要があるのだ。時には、「銀製のヨロイ」を拾ってしまって身動きができなくなる、といったこともある。まあ、面倒なだけの仕掛けといえなくもない。が、序盤、レベルが1つあがるこどに飛躍的に過般重量が増えるのは非常に気持ちが良かった。しかし、残念ながら、「リアリティ」や「雰囲気づくり」には全く貢献しなかった。
シーン転換の上手さ
比較的変化に乏しかったハイドライド2に対し、ハイドライド3のシーン転換は見事だった。平地からハーベルの塔へ、さらにそこから空の街へ。地下のおどろおどろしい洞窟へ。プレイしていて飽きないタイミングで違う世界がひらけていった。
そして、さらに変化はドラスチックになり、機械だらけの水の城を経て宇宙へ行く。このあたりでサブタイトル"THE SPACE MEMORYS"を思い出す。そして、異次元へ。地上と微妙に違う雰囲気が「異次元」を確かに感じさせてくれた。
謎解き
ハイドライド3も、「謎解き」中心のARPGであることにはかわりはない。最初の謎として、「雲の街へ行く方法」から始まり、おそらく最初の山場は地下の街の洞窟の発見からドラゴンを倒すまで。そしてそれは、ラストダンジョンへの進入、ラストボスの発見まで続くことになる。
シリーズの中では一番無理がないが、まだ「理不尽さ」は残してしまっている。2回調べないと見つからない洞窟とか、見つかりにくい(存在も教えてくれない)すり抜ける壁、悪名高いとりもちトラップ。
これらの謎が醍醐味になっているか、というとあやうい。絶妙なタイミングで解ければ、確かに「快感」ではあるのだが、そううまく解けるかどうかはかなり怪しい。しかも、シリーズの中では一番「一本道」であるために、ある謎がとけないと、本当に手詰まりになってしまう。今回のためにリプレイしたとき、ある抜け道の存在を思い出せなくてマッピングまでして、3日はまってしまったが、抜け道を見つけたとき、「ここ、ファーストプレイで死ぬほどはまったところやん」と思い出しつつ強い脱力感におそわれた。ファーストプレイのときは「もう洞窟あるかないですむ…」という開放感が強かったかな。
フェアリーランド
このゲームで良かったのはなんといってもエンディング。わかりやすいラストボスがいてくれて、すっきりと終わってくれた上に、その後のお話が良かったです。ロト3部作の終わり方みたいに、しっくり終わってくれました。「不思議が当然、フェアリーランド」ってね。しかし、フェアリーランドって、今考えるとストレート直球すぎて声も出ないネーミングですな。
まとめ
このゲームでは、基本的にストーリーは表に出てこない。次のフィールドに向かう理由としては、「そこにダンジョンがあるからさ」という世界である。そのこと自体は別に欠点ではない。プレイヤーがすんなり次のフィールドに向かえれば何も問題はない。
一方、このころに「イース」や「エメラルドドラゴン」などによって「ストーリーによって次の行動の方向を規定する」というスタイルがつくられた。こちらのほうが圧倒的にプレイヤーを誘導しやすく、プレイヤーにとってもわかりやすい。
そのため、ハイドライド3のようにストーリーが表面に出てこないタイプのRPG(ARPG)は少なくなっていく。
しかし、繰り返すがそのこと自体は欠点ではない。ハイドライド3の醍醐味というのは、前述のとおり戦闘と謎解き、そして変化に富んだフィールドを駆け回ることだからだ。そういったスタイルのARPGとしては、1つの完成形と言っていいだろう。縦型2次元のARPGでは「ゼリアード」という傑作があるが、それにせまるゲームだと思う。
おまけ
基本クリアルート
・職業は戦士。
文章:若林氏
ハイドライド3に関連するすべての画面写真、パッケージ写真の著作権はT&ESOFTに帰属します。
・スリングを購入。
・スライムで経験値を稼ぎ、13時前にレベル上げ/食料を購入するため街へ。
それ以前にお金が重くなったら捨てて良い。
・レベル2になったら北にある両替機の入手。
・スライムでレベルを3から4程度にあげ、小型の弓を購入。
・地下の街は墓場の左下の墓標をアタックで出現。
・ハーベルの塔1階でレベルをちょっとあげても良い。適宜皮の服など、防具も購入。
・4階のエレベータのスイッチを入れ、176階で雲の石を拾い、雲の街へ。
・戦士の石を購入。神の十字架は重さと相談して適宜。
・移動以降の魔法を覚えてからでないと意味がないが、2階に魔法のお守りがある。(魔法持続効果2倍)
・ハーベルの塔の46階に落ちているT&Eパックを売ると8000円程度になる。
・ハーベルの塔で経験値稼ぎ。レベルアップより移動の魔法を覚えることを優先した方がいいと思う。
・レベルが9程度になったら(ランプを問題なく運べる)、地下の街の洞窟で(抜け道があって昼間でもオーケー。倉庫左上の箱を2階調べると出現)ドラゴンを倒す。すり抜けるられる壁をさがすこと。左上のほう。ついでに左下の謎の古代文字からした3,ひだり5で次元のお守り入手。500グラムくらい大丈夫かと。魔法の鎧は入手してもしなくても良い。
・雲の街から雲の城へ、外を回って上の方の隙間からおちて水上の城へ。一番奥の宝箱からジムの巻物入手。
・森の街から上1つ、左3つの場所で巻物を使うと建物出現。ひたすら逃げ回って宇宙服(10000G)、宇宙コンパスを入手。宇宙ステーションの座標も入手。
・次元の隙間から宇宙へ。角笛、偉大な弓、妖精のかぶとを入手。最後の1つを手に入れたら宇宙服を捨てて移動の魔法で脱出。
・鏡みたいなところから異世界へ(要次元のお守り)。2~3日ヘビースライムでレベルをあげる。
・角笛を使って幻想の街へ。聖水購入。森の街の封印を聖水でとき、洞窟へ。1階、2階の聖なる光をすべて回り、封印を解き、バラリスの像を入手。(2階への階段そばにかべぬけあり。いちばん見つからないと思われるのが2階、直接出口に行く階段のある画面1つ左の、上への抜け道)
・刑務所の男にバラリスの像をみせ、出口のお守りをもらってもまあ良い。
・幻想の街右上の怪しい場所から2200-2400にバラリスの像をつかってラストダンジョンへ。
・1階右上に妖精の盾。(5000g)基本的に不要。まやかしの薬や無敵をつかってどんどん地下へ。途中、3階左下の妖精を見つけておいて最下層へ。ガイザックと対面できるはず。口の中につっこんでGO.
・エンディングを迎えたキャラクターで森の街の銀行へ行くと、ミュージックモードが楽しめる。