M.U.L.E. by 若林氏


BPSより1987年11月に発売


概要

 4人同時プレイが可能な、惑星開発シュミレーション。新しい惑星におりたって、ロボット"M.U.L.E."をつかって作物を生産し、一番お金を稼いだプレイヤーが勝者となる。プレイ感覚としてはボードゲームに近い。
 元はコモドール64用のゲームの移植版。オリジナル版のM.U.L.E.のグラフィックスは、ドットの荒さもあってずんぐりむっくりしていて、もっと生き物臭い感じのデザインだったが、移植版では、くっきりしたドットでかかれて、もうちょっとロボットよりのデザインとなっている。当時のレビュー記事でも、それを悲しむ意見を読んだ記憶がある。が、そういう些細な問題点(たしかに、第一印象はよくない)は、ゲームをプレイしてみると吹き飛ぶ。


ゲーム内容

 ゲームの内容を記していこう。よくできたマルチプレイヤーゲームはルールだけで魅力的だと思う。このゲームでは3つのフェーズがあり、それをもって1ヶ月とする。ゲームはあらかじめ決められた半年から1年で終了する。

1)土地取得フェーズ
 土地の取り合いをする。左上から右下まで、順にカーソルが移動していき、取りたい土地にカーソルが来たらボタンを押す。これによる土地の取得はお金がかからない。同時にボタンが押された場合、現在の順位が下の方のプレイヤーに優先権がある。場合によっては、土地を取り損ねることもある。とくに、右下の土地をねらって取り損ねると、土地を取得できなくなってしまうので非常に痛い。土地は全ての生産の基本となるが故に、取り損ねると大きい。

 この後、時々土地の売却(オークション)が行われることがある。これがアツイ。オークションは、自分のキャラを上に移動させることで価格のつり上げ、下に移動させることで価格の引き下げ/オークションへの不参加ができる。制限時間が終了した時点で最高値をつけた人間がその値段で購入することになる。ここでポイントなのは、一度つけた値段を引き下げることができる、ということだ。このシステムによって価格を引き上げにかかる人間と本当に土地がほしい人間の化かし合いが生まれた。

2)生産フェーズ。
 ミュールを買い、生産用ユニットを取り付け、土地に配置する。これが基本操作である。生産できるのは食料、エネルギー、鉄鉱石、ダイヤモンドである。食料はこのフェーズで消費する。食料が足りないとこのフェーズの制限時間が激減する。エネルギーはM.U.L.E.が生産に使用する。エネルギーが惑星からなくなるようなことがあればひどい事態となる。鉄鉱石はM.U.L.E.それ自体の原料となる。ダイヤモンドは特に意味はない。故郷に高く売れる。

 土地のミュールをつれてきて、生産用ユニットを取りかえ、土地に再配置する、というアクションもある。ダイヤモンドを生産できる上級レベルでは、ダイヤモンドの地質調査もできる。また、山脈に出現する「ワンプス」という動物を捕まえると小金になる。

 これら全ての行動はリアルタイムで行われるため、迅速な行動が必要である。

3)売買フェーズ
 そして、キモである、売買フェーズ。オークションの時にちらっと書いたが、売り手は上、買い手は下からスタートし、上下に移動することで売値/買値の上下を行う。なお、店が存在し、売値には加減があり、在庫がある限り買値にも上限がある。しかし、店に在庫がなくなるとヤバイ。値段は無制限につり上がることになる。


醍醐味

 経済バランスの絶妙さがポイント。単純に言えば鉄鉱石/ダイヤモンドが一番経済効率がよい。しかし、エネルギーを誰も生産しないとそもそも何も生産出来ない。食糧不足もかなり深刻になる。みんなが「勝ちに走るプレイ」をすると、共倒れになる。かといって、「エネルギー供給者」ではまず勝てない。そのあたりのバランスが絶妙である。土地(惑星)の広さ、店の売買価格、M.U.L.E.の購入費などのバランスか非常によい。

 「土地」という絶対的な資産があるが故に、なかなか「一方的な大差」はつかないのもいい。「モノポリー」をはじめとする多くのマルチプレイヤーゲームはそういった欠点を持つが、このゲームではそうそう大差はつかない。故にだれることのない展開が楽しめる。


まとめ

 こういったオリジナリティあふれたゲームは魅力を説明しづらい。何にせよ、たのしいわ、これ。ネットワーク対戦に対応して再販しないかなあ。是非やってみたいものである。

文章:若林氏

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