Angelus


(株)ENIXより1988年7月に発売


Story

西ドイツ最大の建設会社であるバイエルンカンパニーは、現在ペルーにてピラミッドを移転、そしてその跡地にダムを建設するという大事業に取り組んでいた。ダムも無事に落成し、式典が催される中、その事件は起こった。バイエルンカンパニーの副社長であるシュミットという男が急に苦しみだし、その場に倒れたのである。全身が緑色に変色し、ただれ、血管が浮き出すという悲惨な状態。検死の結果は正体不明の奇病というだけで片づけられた。しかし、これと同じ奇病は遠く離れた地、日本でも発生していたのだ。

翌朝、事件のあらましを聞かされたブライアンは、急きょ出張先よりロンドンに戻ってくるのだが、彼自身もロンドンに向かう飛行機の中で、その奇病と遭遇することになるのである。この時からブライアンは逃れることのできない自分自身の運命を歩んでいかなくてはならないのだった。


ゲームの特徴

まず、目に付くのは豪華な制作スタッフのメンバーです。グラフィックにダーティペアなどで活躍されていた土器手司。音楽はすぎやまこういちが担当している(後述するが、あまりすぎやまさんの曲っぽくない)。プロデューサーに女性の伊藤慶子氏が抜擢されている。伊藤さんは同社の「ミスティブルー」でも活躍されており、個人的に忘れられないデザイナーとなりました。

ゲーム自体は、「ジーザス」によって確立した選択式アドベンチャーゲームをさらにドラマチックにしたものです。このゲームはかなり「映画」を意識しており、グラフィックの表示のしかたや、その効果、ストーリーの展開などが非常によくできています。また、アプリシエイションシステムという、ゲームを終了させたあとに、ゲームを映画をみるように自動的に上映するシステムが搭載されており、これも映画という媒体を意識したからこそできた魅力的な要素です。


ゲームが開始すると、まずなにやらいわくありげなオープニングが始まります。遺跡の中から3つのブルーストーンを持ち出す場面で、この物語の発端になっています。

このブルーストーンを持つ人間は、次々に全身が緑色にただれる奇病にかかり、死んでいきます。この事件を追う記者「ブライアン」は、この謎のブルーストーンを巡り、さまざまな人物や、謎の教団グノーシス教、そして自分がゼヴァの復活を唯一阻止できる人物であることを悟ってゆきます。また、恋人のエリスも実はそうだったのか、とうならせる展開になっており、最後まで飽きさせません。ストーリーはここでは話すにはあまりに膨大ですので、書ききれませんが、非常によくできています。

また音楽ですが、すぎやまこういち氏らしからぬメロディーと田口氏のすばらしいFM音源の音色は、一聴の価値があります。


さて、このゲーム、実は完結していません。最後までみればわかりますが、謎が多すぎます。さらにエピローグにものすごい伏線めいた場面があります。これだけふっておいて、「アンジェラス2」がまだ出ない!!これはどういうことなんだ。確か作画が北爪氏、音楽は古代氏で(これだけでも期待できる)ほぼ98%できているというのを雑誌で見た気がするのですが、なんとしても続編を期待します。