MISTY BLUE

by Baseman氏

プロローグ  作品紹介  ストーリー  登場人物
思い出の日々  ゲームのポイント  ミスティーブルーの謎
隠しモード  あなたの和哉度チェック  データ



妙に気があって一緒にいられるだけて楽しかった僕たちだったけど、それぞれが自分の持つ夢へ近づくため別々の人生を選択し、はなればなれになったのは4年前の春。失うことさえも美しいと感じていた頃、何ひとつためらうことなく純粋に夢を追った───。そして今、僕達は一つの事件をきっかけに再会を余儀なくされる。何もかもが……あの頃のままだと信じていたのに何かが違う───。


プロローグ(ディスク6の回想シーンより)

ふり返れば
思い出は
いつもやさしい
 
音楽を勉強するからとアメリカへ渡
った和哉がもうじき帰ってくる…
連絡をもらったとき、オレの胸に4
年前のあのきらめいた時がよみがえ
ってきた
 
それはあまりにもまぶ
しくて、切ないほど甘
味なひとつの季節だっ
 
- 1983年  TOKYO -
 
渋谷駅から少し奥まった路地裏にある店
「クロコダイル」
 
そこがオレたち5人の出会いの場所だった
 
オレはクラスメートで親友
の和哉を誘っては、その店
によく遊びに行った
 
別にオレたちが不良ってことではないけど学校
はつまらなかった
オレは何かをしたいのに目的が定まらずけっこ
うムチャな生活を送っていた
だが和哉はちがっていた
すでに音楽という目標をもってヒマがあればギ
ターをいじり曲を作っていたのである
 
どこまでも純粋に夢を追っていた和哉だったが17才の夏、や
はり「クロコダイル」で藤木麻衣子という女性と知り合い恋に
落ちていく………
 
和哉と麻衣子では完全に麻衣子の方が一枚上手で何かにつけて
はふりまわされていた
 
和哉は麻衣子に
「私今度モデルとしてデビューするのよ」と言われ、すぐに有
名になってしまったことにとまどっていたようだった
 
そんな和哉をひだむきに追い続けていた女の子夏井エリもまた
忘れられない存在である
 
外国からロックミュージシャンが来ると、彼
らに群がるグルーピーのひとりで性格といい
行動といい、いつもぶっとんでいたけど、な
ぜか憎めない不思議な女の子だった
エリは和哉を真剣に好きだったようで、自分
がグルーピーだということを和哉にだけはか
くし続けていたから、オレたちもその事につ
いては和哉の前では口を閉ざした
ちょっと複雑な人間関係かも知れないけどそ
のエリに好意をよせていた森川祐太のことも
ここでふれておきたい
 
オレたち5人グループの中では一番まじめな優等生
タイプで女にもほとんど免疫はなかったようだ
 
かしこいのに不器用にしか生きられない奴ででも、
そんな祐太だからこそみんなにしたわれていた
 
祐太はエリに、エリは和哉に、そして、和
哉は麻衣子へと思いをはせていたあの頃
 
ひとりひとりが恋に対しひたむきで素直に接していた
 
想いがかなわなくても5人がそろう日は一番だったし、何をさておいてもメチャ
クチャ楽しかった
 
みんなでいろいろなことをして遊んだ日もあれば、互いの夢を無我夢中で語りあ
かした夜もあった
せつなさのひとつひとつさえも美しいと感じてしまえるよう
な悲しいほどのきらめきに、オレたちは無意識の中で酔って
いたのかもしれない
 
奇妙なバランスで保たれていた5人だった


そして、1985年・春…


それぞれが自分の持つ夢へ近づくため、は
なればなれになることを余儀なくされる
 
オレは映像方面にとりあえず進もうと思い、大学は芸術学部
に決めた
 
オレなり様々な想いを引きずっての決意だった
 
エリはきっぱりと身辺を
整理し、女子大の短期大
学部へと進学した
 
その変わり身のいさぎよ
さにエリらしさを感じる
 
一方祐太は、父親が経営する会社のひとつである外
車のショップをまかされることになり、本格的に経
営学を学ぶ方向でがんばるということらしい
 
麻衣子は言うまでもなく、高校時代からしていたモデルの世界
へ本格的に入っていった
 
オレはふと思った
和哉と麻衣子はどうなるのだろう?
あの二人の間にはオレが介入できない何
かが存在していた
それはある瞬間をさかいに互いが互いの
ことについて一切ふれなくなった事実が
すべてを物語っていた
 
ただ、オレ自身もその件にふれるつもり
はなかったし自然にまかせるのが一番だ
ろうと思った
その和哉だが高校時代の夢をそのままつ
らぬいていく…
音楽を捨てることはできないんだ、とオ
レに告げた
 
高校時代、確かにオレたちは同じ時を同じ感性でいっしょに過ごした
 
いずれまた出逢うこともあるだろう
 
でも、今は別れの時なのだ
 
最後にみんなで記念写真をとった
 




作品紹介


 比較的初期からプログラムコンテストなどで優秀な人材を発掘してきたエニックスですが、しばらく後からは、各方面から人材を集めてゲームを作るような方式に変わりました。
 この「ミスティーブルー」も原画に恩田尚之、音楽に古代祐三、シナリオに星川泰子といった面々を揃え、相当の期間をかけて開発されたそうです。
 その甲斐あって、他のアドベンチャーゲームとはひと味違った出来になっています。秀逸なシナリオを際だたせる会話モード、8色表示とは思えない美しいアナログ画像、フルアニメーションによる演出、そして味わい深く必要以上にうるさくないBGM。さらにはおまけモードの「えにっくすくえすと」や、パッケージにはCDシングルまで付いてくるという豪華さです。
 中でも1対1による会話モードはその分岐がいくつあるか分からないほど豊富です。またその結果によって以降のストーリー展開にも影響してくるので、これを全パターン極めるのはかなり困難だと思われます。
 そして特筆すべきことに、「画面とBGMの整合性」があります。PCMドラムとアナログパレットが同期するという派手な演出の他に、人物紹介(ディスク6)では年の切れ目できちんと曲が1ループしており、エンディングでもコンサートの最高潮のところとBGMのサビが同期し、ループが終わったところで和哉が会場を出るといったイキな作りになっています。このあたりの技術も是非味わいながらプレイしていただきたく思います。
(このこだわりを実感するには、エミュレータでなく実機で遊ぶことを推奨します。)
 反面、この作品の難点は、前半に比べて後半間延びする感じがすること、意味不明の写真組み合わせのパズル、画像の使い回し(特に和哉のコンサートの時の観客)、ディスク5でセーブできないこと、そして文字表示が若干遅めなことでしょうか。また原因不明ですが、会話中にゲームが止まってしまうことがあるのもいただけません。
 ですが、これほどの感動を与えてくれるアドベンチャーは他にはありません。現在でも十分に通用する、いや、殺伐とした現在だからこそぜひ遊んでほしい作品です。


ストーリー

 電撃解散したロックグループ「オルフェ」のコンサート。
 和哉はそこで高校の先輩松宮と会い、デビューの話を持ちかけられるが、意見が合わず口論となる。
 バイクに跨りその場を離れようとする和哉のもとに、かつての恋人麻衣子がやってきた。
 久しぶりの再会を懐かしの店「クロコダイル」で喜んだのもつかの間。実はオルフェのコンサートで松宮は殺されており、和哉にその容疑がかかる…。


登場人物

水上和哉・・・プレイヤー演ずる本作品の主人公。音楽の勉強でアメリカに渡っていたが、4年ぶりに日本に帰ってきた。

松宮・・・帰国した和哉をバンドデビューさせるための話を持ちかけてくる音楽プロデューサー。ゲーム開始直後に殺害されてしまう。

藤木麻衣子・・・高校時代の和哉の恋人。そのいきさつやそれ以後のことについてここで書くような野暮な真似はしないので、実際に遊んで確かめてみていただきたい。

夏井エリ・・・和哉をひたむきに追い続ける女の子。職場に恋人がいたりするが、エリが「ボーイフレンド」だと言い張るように、半ば強引なものなのかも(^^;)。

森川祐太・・・外車ショップのオーナーで、エリに片想いなおとなしめの性格。優しい顔して脅迫ファクスを送ったりするのも、エリに対する愛情の裏返しか。

ミッキー・・・現在音楽関係の仕事をしている(らしい)。和哉にいろいろと力を貸してくれる。

井上ユカ・・・麻衣子と同じ事務所のモデル。斉木と深い話をするとユカについての話を聞ける。

本郷アキラ・・・元アイドルで現在は音楽関係の会社にいる。かつてエリが追っかけをやっていたというが…なんかタイムラグがおかしくない(^^;)?

冬木麗香・・・作詞家。オルフェに詞を提供したり、斉木との関係は結構深い。このあたりもゲームで確かめてみていただきたい。

俊彦・・・エリの恋人。だが、和也が帰ってきたため関係がぎくしゃくし、結局振られてしまう。話題には出てくるが、実際の顔見せは少ない。

斉木徹・・・ロックバンド「オルフェ」のボーカリスト。和哉のあこがれとするところであり、実際にミッキーを通じて親交を深めることになる。



思い出の日々

 最初は、このゲームに対して何という思いもなかった。
 ただ、当時アドベンチャーゲームをむさぼるようにプレーしており、その名前を聞いて通販で買ってしまったソフトである。パッケージも知らなければ当然中身も知らない。担当者が「アンジェラス」と同じというのが引っかかったが、アドベンチャーをやりたい一心で買ったのだった。当然内容にはそう期待してなかった。
 だが…期待はいい方に裏切られたのである。
 ゲームを立ち上げると、ますは時計に同期した画像が次々と動く。続いてサウンドボード2による古代氏のBGMが入り、一時の静寂をおいて今度はPCMドラムに同期してパレットが変化するコンサート風景になる。
 これだけで私は度肝を抜かれてしまった。これはすごい作品だ。一気にやってしまってはもったいない。それで本編が始まるまでデモを何回も見た。ついでにと言ってはなんだが、ディスク1と6で見られる回想モードも十数回見たと思う。
 ようやく本編に入る。いきなりの会話モードは三択である。話しているうちに4人モードになる。う~ん、なかなか面白い。
 各場面の美しいグラフィック。謎が深まるストーリー、個性豊かで、かつ親しみの持てる登場人物たち…。気が付けば、一気にエンディングまでやってしまった。和哉のコンサートと写真とのオーバーラップには思わずジーンときた。ちなみに私はエニックスの「セーブしたら立ち上げ時にメニュー出現」が嫌いなので(^^;)、立ち上げ時とディスク入れ替え時以外はディスク1にプロテクトシールを貼っていた。ただ、これだとエンディングが見られない…。ジレンマに陥ったあげく、5~6回のプレイの後プロテクトシールを剥がしてみた。
 言葉を失った。
 この時のエンディングは"Illusion"の方だったのだが、和哉のコンサートからそこまでのパターンは全く同じ。当然麻衣子に会って終わるものだと思っていたら…。


ゲームのポイント

 和哉には「無実の罪をはらす」という大きな目的があるのですが、このゲームにはいわゆるゲームオーバーがないため、最終的にはこの目的は単なる通過点にしかならなくなります。
 途中から見えてくるのが「麻衣子との関係」であり、これはゲーム中に他の女性と関係を持たなければ麻衣子と結ばれるという結末を迎えます。ですが、どうやらそうでなく麻衣子が斉木を殺してしまう方が真のエンディングらしく、98版はこの終わり方しかないという話です。
 だからといって(残念ながら?)他の女性と結ばれるシナリオはありません。
 ただ、会話モードによってはいろいろな展開になりますので、セーブをうまく使ってあれこれ試してみましょう。
 開始直後の会話モードをうまく進めると麻衣子と祐太の連絡先を知ることができます。麻衣子は2人モードの時に選択肢の1を選び続け、1がなくなったら3だけを選び続けることにより麻衣子のマンションの電話番号を教えてもらえます。祐太は、和哉が現状を話した後でエリが機嫌を損ねる前に祐太と二人だけの会話をすることにより名刺をもらえます。エリとの話に祐太が割り込んできたときに、3人で話すのではなく祐太とだけ話すことがポイントです。
 他には、ミッキーのマンション前で管理人との会話をうまく進めると世間話をすることができるなど、いろいろあるようです。


ミスティーブルーの謎

 やりこむと、結構見えてくる謎・謎・謎…。
 ここでは、ゲーム中に明かされなかった謎や、どう考えてもおかしい!と思えるネタを批判覚悟でつっこみます(^^;)。

アドレス帳
 そもそも、現場にアドレス帳が落ちていた…ということからして謎。その場で事件が起こったとしても、せめてイベント・ドームの通路とかでしょ(^^;)? それとも、和哉って楽屋を覗くクセでもあったとか?

ミッキーのマンション
 ポストの「いのうえさん」はおそらくお遊びのポイントなのだろうけど、どうせならもっと仕掛けをしておいてほしかった。何度もチャイムを鳴らしてるとミュージックモードに行くとかね(^^;)。

ミッキーの部屋
 Rikakoちゃんと彼女のおばあちゃんがその後どうなったのか気になる…(^^;)。

ミッキーのプライベートルーム
 システム手帳が「ほとんど空白」というのは、単に予定を書いてないのか、それとも仕事がないのか? 後者の場合、顔を見せないミッキーってなにしてるんでしょう…?

本郷に会いに行くところ
 和哉は電車の中で「本郷さんってどんな人」と聞いているが、実際行ってみると「N・EYESって歌好きでした」と言う。振り付けまで真似してたとも言っている。なんでだ? 単にエリに知識を受けたのか?
 で、本郷いわく「まだ僕の追っかけやってくれてるのか…」。和哉が知らないほどの本郷さん、歳いくつなんでしょ(^^;)? ついでにエリっていつ頃から追っかけやってるんだろ…。

麻衣子の行動
 東京タワーの後の電話はどこへかけたのか…?
 アリバイ証言後の和哉の言葉から推理できなくもないけど(^^;)。

ミッキーの行動
 スライドにするのはともかく、別段切り離したり組み合わせたりしなくてもいいじゃないの(^^;)。いくらゲームの時間稼ぎとはいえ…。

ユカの行動
 この作品の中でもっともはかない人かもしれません(ToT)。個人的には麻衣子よりエリやユカさんのほうが好き(これ言い出すときりがないけど(^^;)。)


 斉木と一緒にスタジオを出た和哉を襲った赤い車…。すでに伏線は釈放のところにある気がするのだが、果たしてそうなのだろうか…?

付録CD
 3曲目(Catch the step/神戸港の夜景のBGM)の出だしがゲーム中のアレンジと異なってます。それだけです(^^;)。


隠しモード

 この作品(88版)には、各人との親密度を操作したり、いきなりエンディングを見る方法が存在します。
 まず、ドライブ1にディスク1、ドライブ2にディスク5を入れて立ち上げます。メニュー画面が出たら、ドライブ1にディスク5、ドライブ2にディスク1を入れて立ち上げなおします。これで「スネーク・ブルー」という隠しモードを選べるようになります。
 ROLLUP/ROLLDOWNで項目を表示させ、番号を選んでリターンで決定します。
 (この情報はMTB氏にいただきました。)



おまけ・・・あなたの和哉度チェック

1.優柔不断である
2.音楽が好きである
3.心から信頼できる友人がいる
4.頼まれるとイヤと言えない
5.行動パターンが単純である
6.「失」の漢字を書けない(^^;)
7.複雑な友情関係に陥ったことがある(^^;)
8.えん罪に巻き込まれたことがある(^^;)
9.女性に絡まれやすい(^^;)
10.このチェックを最後までやってしまった

一つでもあてはまるようなら、エリまたはユカまたは麗香とつきあえます(^^;)。
半分以上あてはまるようなら、麻衣子の出所を待ちましょう(^^;)。


データ

対応機種:PC-8801mkIISR、PC-9801VM
発売時期:1990年(88版)
発売元:エニックス
価格:8800円(税抜)


※ 画面写真はすべてPC-8801mkIISR版のものです。
※ 引用文は、行換えを含め原文のままです。




プロローグ  作品紹介  ストーリー  登場人物
思い出の日々  ゲームのポイント  ミスティーブルーの謎
隠しモード  あなたの和哉度チェック  データ




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