ホイホイ by きたかZ氏


光栄より1983年8月に発売


人類永遠の「敵」

 みなさんお元気ですか?キワモノ担当のきたかZです。いきなり私事で恐縮ですが、私は虫が大嫌いです。「なぜ嫌いか?」と聞かれても困りますが、まァもちろん一概に虫といっても、「みなしごハッチ」に出てきても悪役でない虫・・・例えばチョウとかトンボとかホタルとかは嫌いではありませんし触れもします。(悪役でもカマキリとかはセーフです)しかし、グロテスクで貧乏くさくてありがたくない虫!蚊とか丸虫とかゲジゲジは、もう見るのもイヤなんですね。中でもゴキブリ!こいつなんなんでしょう!?いくら日本のゴキブリは病原体を持ってないっていわれているにせよ、存在すら許すことができない虫です!そんなわけで本作「ホイホイ」は、画面上のゴキブリを殲滅させるのが目的の(私を含めて)虫ギライの人にはうってつけのゲームです。
 メーカーは「あの光栄」の初期の作品で、初期の光栄といえば「団地妻の誘惑」「オランダ妻は電気うなぎの夢をみるか?」などの「ストロベリーポルノシリーズ」(どうでもいいことなんですが、この「ストロベリー」ってどういう意味なんでしょうね?今更ですが・・・)がありまして、「光栄って最初の頃はこんなゲーム出してたんだね。バカだね。イヒヒヒヒ!」・・・という揶揄も含めて目立ってしまっているため、どうしても「団地妻」の陰にかくれてしまっている印象を受けますが、この作品はなかなかどうしてゲームの完成度としてはかなり高く、かつ、初心者でも十分に楽しめる親切なつくりになっているにもかかわらず、今一つ売れなかったのはやはり、「イロモノ」としてしか受け入れられなかったからでしょうかねえ・・・(光栄には他にもあまり売れなかった初期の作品に「ダンジョン」「剣と魔法」といったRPGもありましたが、これらを実際やってみると、こっちは売れなくても仕方ないか、という気がします(苦笑))


ホイホイヲ セットセヨ

 さて、実際にプレイしてみるとまず最初にプレイヤーの設定から始まるんですが、その設定がまたアレで、「1:主婦・・・体力あるけどバカ」、「2:サラリーマン・・・平均的キャラクター」、「3:学生・・・体力ないけどお利口」と・・・(ここでいうバカと利口とはスプレーの命中率のことで、スプレーは離れた敵(ゴキブリ)や複数の敵を攻撃することが可能なため、きわめて重要なパラメーターです。)
 ゲームが始まると、ゴキブリの発生地帯と「ケーキ」が表示されますが、そう、このゲームの目的は、「ゴキブリからケーキを守りきる」ことですんで(笑)勝利条件はゴキブリの全滅であり敗北条件はゴキブリがケーキに触れてしまうか、プレイヤーがグロッキー(死語)になってしまうことです。しかし、人間とゴキブリとの戦いをヘックス戦にしてしまうという発想はすばらしいです!デザイナーの非凡は手腕であるといえるでしょう。ただ、なぜそこまでして一個のケーキを守らなければならないのかって疑問は最後まで残りますが・・・

 さらにゲームの難易度まで選択することができ。最強レベルの「VERY STRONG」なんか選ぶと大変で、大量のゴキブリがケーキを目指して押し寄せてくる姿はパニック映画「黒い絨毯」をホーフツとさせます。(ほめすぎ)
・・・で、ゲームのタイトルにもなっている「ホイホイ」を5個セットすることになるんですが、この「ホイホイ」とはもちろん、普通名詞にもなってしまった「あの商品」のことで、ここにゴキブリが侵入すると無条件で退治してくれるラッキーアイテムのようなものです。(もちろんケーキに隣接したヘックスに置くとゲームが成立しませんので、2ヘックス以上離れたところしか置くことができません。)置き終わるとゲームの始まりなんですが、プレイヤーの攻撃方法は2種類、「スリッパ」と「スプレー」で、スリッパの攻撃力はプレイヤーの設定によって差異がありますが、100%命中します。またスプレーには前述したように命中率があり、離れた敵ほど命中率は低下します。(ここらへんのバランスがまた絶妙といえます!)もちろん、スリッパもスプレーも回数制限があり、ヘックス上に転がってる予備をとることで補充することができます。(ただ、そこへ行くまでが大変なんですが・・・)そして特筆すべきはスプレーによる攻撃で、「ゴキめ!」といきりながらポーズを決めて発射するシーンはなかなかみものです!(大好きです、私!)


一寸の虫にも五分の魂

 ゲームは中盤からが難しく、「ホイホイ」にも捕獲する限度があり、限度を超えてしまうとゴキ達は乗り越えて迫ってくるので全く油断がなりません。しかし一匹一匹スリッパなりスプレーなりでヤツらを倒していくのはなかなか爽快感があります!非現実的な敵と戦うより、なまじっかイヤでも知ってるヤツらと戦う方がリアルだからかもしれませんね(笑)
 そうしてゴキブリどもを全滅させればハッピーエンド(???)なわけですが、夕陽の海に向かって飛んでいくゴキブリのCGが表示され、なかなかに哀愁を誘います(笑)
 実際くどいようですが、このゲームの完成度はきわめて高いです。アイデアもノウハウも薄かった時代によくここまでできたもんだと素直に感心できる作品ですね。ただ、惜しむらくは人間とゴキブリとのストイックな戦いが内容なため、シナリオ制にするとか、コンストラクションをつけるとかいった事が出来るはずもなく、ゲームとしての幅の広がりをもたせられなかったのが残念です。でもまァ、30分程度のヒマつぶしにはもってこいのゲームだといえるでしょう!間違いなく光栄の、いや88ゲーム初期の隠れた良作であると断言できます。光栄さんもゴキブリだけでなく、蚊とか蠅とか、害虫駆除ヘックス戦ゲームとしてリメイクしてくれないでしょかね?してくれへんやろなあ、トホホ・・・

 でも最後に一言・・・

 ケーキにサランラップかけてバルサンたけよ!

(余談ですが、FM-7版の本作は日本の童謡や唱歌をパロディにしたアホみたいなノリの短い曲がいっぱい入っており必聴です!当たり前といえば当たり前なのですが、88版に入っていないのが悔やまれますね・・・)

文章:きたかZ氏

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