大奥マル秘物語(ネタバレしてます)by きたかZ氏


CSKより1983年7月に発売


CSKの果てしなき暴走

 ・・・左様でございます。ここからがほんとうの大奥・・・女ばかりが何千人と住んでいる世界なのでございます・・・(ナレーション)

てなわけで、CSKレビュー第○弾は、「大奥マル秘物語」です。主人公の「おみの」(演:藤純子)は大奥の「お勝手方」からスタートし、女同士の嫉妬と陰謀の渦巻く大奥の世界でいかにして今だ子供のいない6代将軍家宣(演:高橋昌也)の世継ぎを懐妊できるか?てなサクセスストーリーです(笑)(まァ、要するに、同社の暴発作、「道鏡」の主人公を女性にしただけのような話です。ぶっちゃけた話(笑))。

本作はきっちりと全3部構成になっており、「おどくみ篇」、「いじわる篇」、「うえさま篇」(註:筆者が勝手に命名)に分かれています。あと私、最後までプレイして気づいたのですが、本作は全然原作とは別物です。はっきりいってここまで原作を無視したゲームも珍しいです。(とはいえ、CSK作品で原作に忠実な作品など皆無ですけどね。(断言))


おどくみ篇

ゲームのスタートで、「お勝手方」として大奥に入ったプレイヤーは、まず上様の食事の世話を任されます。作られてきた食事は、ごはん、みそ汁、魚、はまぐり、漬け物と、将軍に出す食事にしてはかなり質素ですが、そのままお毒味役に出そうとすれば、即打ち首になります。「生類憐れみの令を知らぬヤツ!打ち首だ!」・・・って・・・あれ?「生類憐れみの令」って5代将軍じゃなかったのか?6代将軍まで続いたのか?・・・まあ、気にせず魚を抜いて出したらまた打ち首・・・実は抜かなければいけないのは、「はまぐり」で、「生類憐れみの令」によれば、「海の魚」はセーフで、「地面の延長である海底のいきもの」はアウトなんだそうです・・・勉強になります(何の?)・・・でも、それなら実際に料理を作ったヤツを打ち首にしろよ!と思う間もなく、食事を狙ってお犬様があらわれました。「よけいな事をしたら打ち首よ」といわんばかりの展開です。仕方がないので着物でシッシッっと追い払うと、犬が火鉢をひっくりがえしてしまい、火事が発生!・・・その時、「使ったら打ち首よ」といわんばかりに金魚鉢(もちろん金魚入り)が置いてあります!・・・しかしこれでも学習能力のあるつもりの筆者は、さっき食事の魚はセーフだったのを思いだし、金魚鉢を使うことを決行!・・・あっさり打ち首にされました。うーん・・・


仁義なき(女の)戦い (いじわる篇)

 さて、ボヤ騒ぎを機転で救ったおみのは上様の目にとまり、晴れてお部屋入りを許されます。もちろんそんな破格の出世を他の女達が許すはずもなく、陰湿で執拗な「いじめ」がはじまるわけです。そこで、おみのは10コのアイテム(?)の中から5つを、「撃退道具」に選ぶところから始まります。その10コというのは、香炉、鰯、ロウソク、ネコ、扇子、お守りなどと意味不明なものばかり・・・選び終わるといよいよ、「いじめバトル」(「いじめられバトル」か?)の開始です。

まず1番手は、「部屋の中にニンニクをなげこみ部屋じゅう臭くしてやろう作戦」です。これには、「消臭アイテム」で対抗!次は、生きたネズミを投げ込まれますが・・・賢明な諸賢お気づきのことと思いますが、ネコを使うと例によって例のごとく打ち首ですんで、ここはネズミにエサをやり満腹にさせて立ち去らせます。

その次には、フスマから欲求不満の老女の松島(演:山田 五十鈴(特別出演))がものほしそうに入って来ます。「彼女の好きなものをあげましょう」と・・・そこで、「ハリガタ」(つまりその、現代でいう「バイブレーター」)を渡すと老女は(アニメで)ニヤっと笑って立ち去ります。(このシーンの演出の不気味さは画面でお伝えできないのが実に残念です!)


ホッとしたのもつかの間、イジメもだんだんエスカレートしてきたのか、ガラっと障子が開いたかと思うと、表の木に「呪いのワラ人形」が!(笑)・・・ここで、「お守り」をもっていないと呪い殺されてゲームオーバーなわけです。(しかしつくづく、「呪い殺す」が好きなメーカーさんですね、CSKって・・・(苦笑))


子種ちょうだいつかまつるう! (うえさま篇)

数々のイジメをはねのけ、いよいよ上様からのお夜伽を命ぜられたおみの。上様との「えっちバトル」の開始です!(笑)・・・しかし上様をツワモノで、そうそうおざなりなえっちでは満足せず、気に入らなければ、「キョウザメ」と一言いい残してゲームオーバーにしてしまうワガママな男なんですね。ですからもてる限りのテクニックを駆使して上様をイカせるわけですが・・・よくよく考えてみたら、世の中「女をイカせる」えっちゲームは無数にありますが、「男をイカせる」ゲームははっきりいって稀少です。なにが悲しくて男をイカせなきゃならないのか・・・しかもコマンドがまたリアルで、「チンチン」とか「キンタマ」なんてのも平気で受け付けてくれます。(正直にいいますが、これほどやっててブルーになったえっちゲームは初めてです・・・)ともかく上様のツボを責め立て、「ウイヤツ メ」を連発させたら、さすがの上様も、「ウッ」っとうめいて見事昇天!懐妊したかどうかの判定に入るんですが、「無事お種を宿したかあなたは考えています。月経があったのは何日前でしょうか?」と、ごていねいにも、「周期表」と「体温計」まで出てきます。(しかし、ここまできたらもう完全にCSKのペースです。誰も止められません・・・(ちなみに、安全日だったか、危険日だったかの判定はランダムです(苦笑)))・・・そして見事お世継ぎを出産したらハッピーエンド!・・・と(笑)

 はっきりいってこのゲームは一応えっちゲームとして作られてはいますが、一人でこっそり遊ぶようなシロモノではありません。実際、これでコーフンする人がいたら、こっちが教えていただきたいです。ですからある意味でパーティーゲームといえるかもしれませんね。「こんなゲームもあったんだよ・・・」と、友達を笑わせるような類のものではないでしょうか?(もっとも、それが原因で友達を失い、変なウワサがたったとしても、私はなんの責任も保障もできませんが・・・)

(余談ですが、原作はお部屋入りしたおみのが老女の松島と共謀し、子種の薄い将軍に代わって別の男の子供を懐妊させ、大奥を牛耳る・・・ってなマジメな(そうか?)話でした。どこをどうアレンジしたら、「生類憐れみの令」まで飛び出すのか・・・CSKの奥の(業の)深さを改めて思い知らされた作品です。)

文章:きたかZ氏

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