パラベラム


富士音響RAMより1984年4月に発売


隠れた良作

世の中には隠れた良作というものがあるものです。このパラベラムはシューティングゲームがあまりなかった88黎明期において、キラリと光るゲームの1つでした。
ゲームはスクランブルタイプの横スクロール型のシューティングで[X]キーで横にショットを発射し、[Z]キーで下にボムを撃ちます。自機はまるで名作「グラディウス」のビッグバイパーのように、銀色でシャープな機体です。さらに上昇下降につれて自機は傾きます(それどころか回転します)。もしかしてビッグバイパーはこれを真似したのではないでしょうか(冗談ですが)。ゲーム画面も宇宙に岩山と、「グラディウス」に近いです。



スピードを速くする工夫

88でスピードのあるフルカラースクロールをするのはほとんど不可能だったのですが、「アルフォス」は3枚あるプレーンを独立させ、1枚を「黄」「青」の2色で背景を表現し、残り2プレーンで敵と自機を表現するという手法で話題になりました。パラベラムの作者、鈴木氏はアルフォスからヒントを得てこのプレーンテクニックを使ったそうです。つまり色は赤、青、黄色、白の4色のみを使い、プレーン数を2つに抑えてスピードを速くしています。また、背景が黒いためキャラクターとの重ね合わせの必要がないのも、スピードを速くする一種のテクニック(?)です。というか、昔のスプライトがないころのスクロールゲームはアーケードも含めて、重ね合わせ処理が必要ない「黒」の背景を選んでいたのは当然のことでしょう(これが宇宙を舞台にしたゲームが多い理由なのでしょう)。88には、このような、いわゆる「ごまかしスクロール」系のゲームが初期は圧倒的に多く、たとえば、背景が青一色の「ヴォルガード」もその1つです。


また、パラベラムは、さらに一つ一つのキャラクターを小さくしたため、画像に関わる処理を軽減しているのも特徴です。ただ、そのキャラクターは面を追うごとにさまざまに変化し、その動きにも特徴をつけています。この動きは「スクランブル」からヒントを得た動きです(UFOがでてきたり、隕石がでてきたり)。

このゲームは当時のアーケードゲームに比べて爽快感はないのですが、88では珍しいタイプの横スクロールで、しかもスピードが速いため(88実機でこれほどのスピードのあるゲームはなかなかなかった)、びっくりしたものです。それもこれも、スピードを速くする工夫と、キャラクターを小さくして、数とパターンを増やしたことが功を奏したのでしょう。



作者について

作者は当時高校生だった鈴木明祥さん。ゲームのアイデアは、スクランブル、ギャラガ、チョップリフター、ゼビウスのおいしいところからいただいたそうです(どうりでそのような演出が見え隠れするわけです)。ゲームはアセンブラ(キャリーラボのC-DOS + SuperBASE≒高機能なBASIC風アセンブラ)で書かれており、 GRAMプレーン制御、カラーパレット制御、グラフィックス描画ルーチン、キー認識などのテクニックを当時雑誌に掲載されていたものから拝借して制作したということです。またキャラクタ数がどこまで増やせるかを試しながら制作していったそうです。鈴木さんはこのゲームを友人や弟さんなどにテストプレーしてもらったとこのこと。しかし、失敗だったのは、弟さんがあまりにゲームに慣れてしまい、キャラクター数が増え、追尾ミサイルなどの難度の高いフィーチャーを入れてしまったため、ゲームバランスが悪くなってしまったそうです。そのため、開発完了直前にレベル選択ができるようにしたそうですが、その画面がわかりにくいので実際にはほとんど気づかれることはありませんでした。

ちなみに以下がキー操作になります。

■タイトル画面(ファイターがくるくる回っている画面)

・スペースバー  ゲームスタート
・リターンキー  レベル選択画面へ
・カナをロックして、[Shift]+[TAB]+[Esc]を同時に押しながらテンキーの[HOME/CLR]を押すと、ビッっと音がしてファイターの回転が止まります。
ここでテンキーで999と入力すると以後ファイターが999機になります(隠し機能)

■レベル選択画面(SELECT LEVEL)

・スペースバー(High level)ファイターの移動速度が遅く難しい
・その他のキー(Low level)ファイターの移動速度が速く簡単になる

■デモ画面

・スペースバー  ゲームスタート

■終了

・本体のリセットボタン...

「パラベラム」に関連するすべての画面写真、パッケージ写真の著作権は株式会社富士音響RAMに帰属します。