スタークルーザー by 寺町氏


有限会社アルシスソフトウェアより1988年5月に発売


Story

25世紀、人類の宇宙開拓は目覚しく、恒星系連邦政府は「惑星開発団」なるものを組織し、新しい居住地を求めて近隣の3つの星系へ旅立っていった。しかし、これらの開発は急激かつ広範囲であったため、辺境の惑星にまで連邦パトロールの目が行き届かず、次第に無法者、略奪者が増え、治安が乱れていった。この治安の乱れを安定させるために連邦政府は悪質な略奪者に対して賞金をかける「ハンター制度」を採用し、その人材を公募した。

それから10年、太陽系を遠く離れたバーナード星系ではVOIDと呼ばれる略奪者の一味が出没しはじめた。VOIDは勢力を拡大し、いまや「暗黒の覇者」と呼ばれ、恐れられていた。A級スナイパーである「ブライアン・ライト」は木星にVOIDの部下「太陽風」の基地があることをキャッチし、単身基地に潜入した。しかし、敵は手強く、スターシップは破壊され、地上用のランドクルーザーで敵基地内をさまよっていた。


ゲームの特徴

宇宙を舞台にした広大な3Dスペースオペラです。アルシスソフトは以前にも、「ウィバーン」「リバイバー」といった3Dアクションゲームを発売しており、このスタークルーザーはその結集といえるゲームです。まず、宇宙といった広大な空間を自由に航行でき、惑星も近づけばきちんと拡大して表示されます。特に地球も美しく大陸が表示され、ゲームを無視してただ宇宙をさまよっているだけでも楽しめます。宇宙空間では敵がレーダー範囲内に現れると、音楽が変わり、そのままドッグファイトシーンになります。これも緊迫感があり、ゲームに奥深さを加えています。

ゲームレビュー

ストーリーや設定もきちんとされており、現在も多くの隠れファンを持つシューティング+アドベンチャーの傑作。小さなウィンドウに描画される秒間3コマ程度のポリゴンは当時からしても確かに快適とは言えなかったが、スペック的限界からくるその制限は、逆にスマートなシルエットを持つ宇宙船(スタークルーザー)を生み出すことになり、品のある登場人物、一級品のストーリーとあいまって多くのゲーマーたちの胸を躍らせた。


個人的に特筆したいことが2つある。1つはあまり語られない事実だが、スタークルーザーはE・ハミルトンなどのSF作家によるスペースオペラの洗礼を受けているということ。あのドラマチックなストーリーには、スターウルフシリーズやキャプテンフューチャーシリーズのSF活劇のおもしろさが十分に生かされているのだ。敵VOID組織の巡洋艦にみられる「バーナードの鷹」「魔白球」「紅のサソリ」といった和訳表記ライクな名称(かっこよすぎ!!)はシナリオライターのそれらSF作家、そしてすばらしい小説を届けてくれた訳者に対すオマージュであろう。

そして忘れてはならないのが感動のBGM。ゲーム史上に残るあのドラマチックな旋律の数々はCDが2枚も発売されたように、店頭のデモンストレーションなどでも街ゆく人々の耳を捕らえてはなさなかった。私もその虜になった一人だが、店頭で聴いたX68版と同じ音色が我が88SRのスピーカーから流れてきた時には、そりゃ嵐のような感動に震えたもんだ。耳にした事がないというあなた、それは人生最高の喜びのひとつを手にしていないようなもんだからすぐ中古屋へ走ろう(でも無いか?)。


<文章 寺町氏>

スタークルーザーとそれに関連するすべての画面写真、パッケージ写真の著作権は(有)サイバーヘッド(旧アルシスソフトウェア)に帰属します。

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