Seed-種をまいた人-
インタビュー

戻る

ピョン太 それから、X68000のプログラムにしばらく浸かっていた。で、プログラマーの最後の仕事が、これはガビンちゃんが当時持ってきた仕事なんだけど、『ノーライフキング』っていう映画があって。

愛妻 はいはい。

ピョン太 その中でCGを出すのに、監督がCGじゃなくてプログラムとして動くような事をやって欲しいっていう、仕事があったのね。それでCGアーティストに原田さんという方がいて。その人が受けたんだけど、その人はCGアーティストだからプログラムまではやらないから。ガビンちゃん経由で誰かプログラマーを捜していたって言うんで、それX68000でやろうって話で、オレも一緒になって話しに行ってまとまって。で、その映画に出てくるキャラクターを動かすプログラムっていうのをやって。結構疲れて、それでプログラマーを辞めた(笑)

愛妻 ははは(笑)

ピョン太 そんな感じかな。それでプログラマーを辞めた。

愛妻 では、華々しく映画で幕を引いたと。

ピョン太 映画で幕を引いて、X68000と共に衰退すると(笑)

愛妻 ははは(笑)

ピョン太 だからX68000と共に、プログラムをやる時代じゃなくなったかな。

愛妻 じゃあ、X-WINDOWSとかは、あんまり触らなかったのですか?

ピョン太 触らなかった。でもそれからX68000って、ゲームで面白くなったんだけどね。ただ割とゲームの面白さっていうのは、ゲームセンターのゲームを移植するっていうのに変わってきたでしょ。

愛妻 そうですね。

ピョン太 そのくらいの頃から、新しいゲームをやるっていうよりも、もっと違う方向に行っていて。なんかゲームセンターのゲームをリアリティーに追求するっていうその方向に変わってきて。

愛妻 ええ、そうですね。

ピョン太 それは逆に、ファンとしては遊べるんで良い環境だったんだけど、プログラムとしてはもう付いていけない、1人でやる時代じゃないなって思って。完全にそこからは、プログラマーは終了だね。

愛妻 昔って、何から何まで1人で作っていましたよね。分担制なんか無かった。

ピョン太 グラフィック、サウンド、プログラムっていう、その辺のセンスを全部持っている人間なんてそんなにいないから、そういう意味では本当に1人では限界があったよね。最近は、若い世代っていうのは、最初っからゲームがあるんで、音も絵もプログラミングも出来る奴が居るんだよね。

愛妻 ある程度、最初から吸収しているから。

ピョン太 だからそういう人が居るんで、1人じゃ出来ないとは言い難いんだけど。ちょうどX68000のゲームのリアルティーが出てきたぐらいの頃には、やっぱり誰もが1人じゃ限界だって思った。

愛妻 でもピョン太さんは、プログラムは組まなくなったけど、DOS/V機とかを組むの好きですよね。

ピョン太 そうかもしれないね。ブラックボックス化されていたマシンが、DOS/Vの組立っていうところで、また昔に戻ったような気がするんだよね。確かにプログラム的なところで見るとブラックボックスなんだけど、各くパーツの組み合わせっていう所が、本当に昔のようなノリがあって。プログラムを辞めたけど、キライになったわけじゃないから、それに似た匂いのする物にどうしても飛びつくよね。DOS/Vが面白くなってきたときに、またマシンが面白いって思い始めてて、ちょうど486マシンが60万ぐらいになったぐらいの頃に、無理したっていうのがあって(笑)

愛妻 ははは(笑)

ピョン太 486マシンとかがWINDOWSとかを使うと、初心者にも優しくなるんだっていうのが少し見えてきた位の頃に、「これはDOS/Vしかない!」って思って。・・・WINDOWS3.0だったけどね。

愛妻 3.1じゃなくて、使えない3.0ですね。

ピョン太 3.0は使えないって思われていたんけど、それは386マシンのせいでもあって。

愛妻 あ~、そう言われてみれば。

ピョン太 486になってある程度メモリを積むと、DOSよりは使いやすい。

愛妻 最初3.0をPC-9801DAで使ったんですけど。

ピョン太 ちょっと微妙なところだね(笑)

愛妻 当分は、MS-DOSで十分かなって。今でもDOSの方が楽かなって思いますけど(笑) でも3.1になったら結構変わったじゃないですか。

ピョン太 うん。だから完全に486になれば面白くなると思っていた。だんだんマシンが速くなって、だんだん使えるようになって。「やっぱこれは楽しいじゃん」と思って。それからどっぷりと、DOS/Vにハマったね。

愛妻 ちなみにそこにあるiMACは買ったんですか?

ピョン太 うん。

愛妻 ははは(笑)

ピョン太 やばいね(笑) 変わってない?

愛妻 (笑) まあ、ピョン太さんらしいっていうか。新しい物を見つけたら無くなる前にゲットしておいた方が良いですよね。

ピョン太 あれはね、衝撃的だった。17万8千円で・・・オレはある時期から、ネットワーク化されていないコンピュータっていうのは嫌だっていうか。そういう考え方でやってきていて。あれってフロッピーもなければ、拡張性もないでしょ。オレはもう、インターネットの端末でも良いと思っているから。それで家庭にちゃんと置かれることを考えていて、尚かつイーサカードも入っているから。それでああいう形でしょ。もうこれは買うしかないって(笑)

愛妻 (笑) あれは、人の物欲を刺激するマシンですよね。

ピョン太 もうアーキテクチャーなんてどうでも良いって言うかさ。DOS/Vとかマッキントッシュでも、もう新しいところがなかったじゃん。嫌気がさしている部分があって。でもコンピュータをやっているけど。そこにああいう様な現れ方をされると、「ああいいじゃん」って思っちゃうよ(笑)

愛妻 多分、同じ様なことを思っていた人が多かったんでしょうね。初日からあんなに売れましたし。

ピョン太 多分、そういうことが必要な物って山のようにあると思うんだけどね。これはさっきちょと話したネットワークゲームって言うか、ゲームにも言えることなんだけど。だから新しくなんか買いたいと思わせる物を埋め込まないと。機能なんてわかりきっちやっているんだから。だからiMACは買いでしょう(笑)

愛妻 これは買う物!っていうレベルですね(笑)

ピョン太 買いたい光線が山のように出ていた(笑) だからコンセプトっていうのは、凄く魅力的に映るとダメだよね。

愛妻 ははは(笑)



とまあ、この後、ネットワークゲームからドリームキャストまで話は続くのですが・・・。如何でしたでしょうか?
ピョン太さんが作ったゲームで遊ばれたことがある人には、たまらない裏話ではなかったでしょうか?
また何か機会がありましたら、インタビューしたいと思います。
 


戻る