ザ・スクリーマー


マジカルズゥより1985年5月に発売


Story

「BIAS」。かつて日本の科学力のすべてを結集して造られたこの建物も、今や悪魔の支配するところとなってしまった。199X年の食糧危機に対し、遺伝子操作による大量の食料生産を行うため研究所が建てられた。ところがおろかな人類は研究の成功を待てず、戦争による解決を選んでしまった。中で創造された新生物は、放射能の影響を受け怪物となり、「BIAS」をうろついているという。
政府は放射能や細菌が漏れる攻撃はできないと言い出して、怪物の首に賞金をかけた。人間相手の賞金稼ぎだった君は、お金につれてここまできた。怪物や狂ったロボット・防御システムを相手に回し、BIASの真実を解き明かすことになる。ゲートをくぐったとき、君はこう呼ばれる。その名をザ・スクリーマー。(ストーリーをマニュアルから抜粋)



ゲームシステム

このゲームは、3Dダンジョンタイプのロールプレイングゲームである。キャラクターを作り、モンスターを倒してハンタークラスを上げ、BIASの謎を解き明かすことが目的である。
ゲームを起動すると、なかなかセンスのよいデモが開始される。特にグラフィックは、ゲーム中に使われるものを流用しているとはいえ、この当時としては非常に美しく、斬新であった。
まずプレーヤーはキャラクターを作成する。このゲームのキャラクター作成は実に簡単で、名前を入れるだけ。あとは決められたお金、能力(すべて10ずつ)が設定される。実はレベルアップに乱数の要素は全くなく、すべての能力が10ずつ上昇するように設定されている。このあたりは名作「ウィザードリィ」とは全く対照的な作りになっており、みな平等のキャラだから分かりやすいという反面、運の要素がなく面白くないという欠点もあった。


ゲームの舞台となるBIASがそびえたつ町、ビーストシティは昔「富士山麓科学都市」と呼ばれる活気のある町だったのだが、戦争が終わったいまとなっては、砂漠の真ん中にポツンとある荒れ果てた町になってしまった。だが、命知らずのスクリーマーのために、営業している店が何軒かある。

「酒場」・・50Cr払うと店内に入って酒を飲むことが出来る。いつでも他のハンターたち(サムライを除く)と会うことが出来、いろいろと情報集めをすることができる。ただ、会話は直接入力式なのでなにを聞いたら良いのか迷ってしまうことが多いし、こちらのIQが低いと相手にもしてくれない。
「武器屋」・・ウェポン、アーマー、アイテムなど、この冒険で必要なものがほとんど売っている。また、いらない武器を売ることも可能。BIASで拾った高額な武器をうっぱらって、お金に替えるのがよい。
「首屋」・・BIASの中にいる怪物を倒し、その怪物の首をお金に変えてくれるのがこの首屋。BIAS内で倒した怪物の価値(BP:ビーストポイント)は首屋でくれるFRDに記録されている。それを見せることによって、BPと同額のお金をくれる。さらにBPがある一定値まで上がると、HC(ハンタークラス)も上げてくれる。ハンタークラスが上昇すると、すべての能力が上昇する。一番重要な場所。
「医者」・・BIAS内で受けたダメージを回復させてくれる場所。ただし、お金が必要。お金をムダに使いたくない人は、迷宮内でじっとしていれば、確実に1ポイントずつ体力は回復する。
首屋でFRDをもらい、適当な武器も購入したら、いよいよBIASに突入することになる。BIASの入り口には2人の警備兵が厳重に警戒しており、許可証(2枚目のディスク)に交換することによって中に入ることが出来る。BAISが非常に危険であることを示すような重い扉が開く。なかなかよい演出である。



迷宮探索

ゲームは基本的に「ウィザードリィ」を踏襲している。マップは22×22の正方形になっていて、それが6階まである。[2][4][6][8]で移動、[5]で扉をあける、という操作はこのころには馴染んでいたので、すんなり入っていけた。敵に遭遇すると、敵の非常におぞましいグラフィックが登場。しばらくディスクをアクセスしたあとに、戦闘に突入する。戦闘はリアルタイムゲームになる。テンキーで移動して[Z]で攻撃、[X]で防御。[C]で特殊な武器を使用する。戦い方としては、まず[2]を押してかがみ、[X]キーを押しつづけて盾を構える。敵が自分の射程に入ってきたら、[Z]キーに切り替えて攻撃を行う。戦いに勝つと、BP(ビーストポイント)を得ることが出来、首屋に持ちかえって、経験値と賞金がもらえるのである。
ダメージを受けた場合、その場所にじっとしているとダメージが回復していく。ただし、[0]キーを押して、戦闘から離脱した場合、その場所にじっとしていると次の敵が出てくることがある。また毒の病気にかかった場合は、HPが減っていってしまう。
町に帰ったら首屋に入ってFRDをみせる。するとBPと同額のお金がもらえ、HCが上がっていると、そのことを伝えられるので、病院にいってお金を払って各能力を上げる。そしてよい武器を購入し、クラスを上げ・・これを繰り返して迷宮を探索していく。



迷宮の謎と攻略

まず迷宮はきちんとマッピングすることが基本である。22×22の正方形なので、ブラックオニキスシリーズなどに比べてずっと迷路は書きやすい。ただし、バイアストルネードという、いわゆるターンテーブルのワナがあちこちにあるので、自分の向きがどちらなのか常に注意してマッピングする必要がある。また、ワイドマッパーというアイテムがあり、これがあると自分のいる座標を教えてくれる。2階に上がると、北半分に行けないことに気がつくはず。3階は右上の部分、4階は右下の部分に行けない。実はこれは階段や落とし穴で、各階が立体的に繋がっているためである。
最初のうちは敵が強くてなかなか戦闘に勝てずに死んでしまうことが多い。死んでしまうと、ディスクからキャラクターがあっという間に削除されてしまうので、注意が必要である。とりあえず、最初のうちは、1階の入り口付近で敵と戦って、危なくなったらすぐに町に戻ってセーブというやり方がよいだろう。また、手っ取り早くお金をためる方法として、入り口から一番近くにある「ツインソード」を手に入れて、これを武器屋で売るとお金が入る。そしてまた同じ場所にいくとまた「ツインソード」が落ちているので、またそれを売るというやりかたでお金を儲けることもできる。
また、情報も集める必要がある。酒場などで他のハンターにお金をあげて情報を収集することが可能である。1000ぐらいのお金を渡さないと何も話してくれないのだが・・。会話ができると、「ラット」が物々交換をしていることや、「サムライ」が生きていることや、6階にあがる方法をおしえてくれる。また、迷路の壁にもいろいろとヒントが書かれており、これもこまめにチェックすることが必要である。このヒントからパスワードを聞いてくる部屋に入ることができる。
また、5階からのエレベーターで1階まで下りると「レベレーションリング」というものを見つけることができ、これをもっているとロードディフェンサーから情報を得ることが出来る。また、3階のある場所にいくと、「EXカード」というのが落ちていて、これを使うとパスワードを聞いている部屋に簡単に入ることができる。

ひたすら敵を倒してHCを25まで上げると、マスタークラスとなってそれ以上クラスは上がらなくなる。HCが25になってのちにBPを稼いで首屋にいくと、「ホワイトペンダント」をくれる。実はこのペンダントを迷路内で「モンスターマーダー」に渡すと、「セコンドキラー」の持ち物だといって「イエローペンダント」をくれる。これを「セコンドキラー」に渡すと、グリーンペンダントをくれる。このようにして次々とペンダントを交換していくと、最終的に「サムライブレード」を手に入ることができる。そして6階にある場所に行くとゲームは終了するのだが・・



他のハンターたち

ザ・スクリーマーでおもしろいと思ったのは、自分以外の他のハンターたちに顔や性格が設定されているところである。しかも、彼らは迷宮でたまに出くわし、いろいろと話をすることができる。しかも彼らはオープニングでやたらと目だって登場し、さらに怖い顔立ちをしているので、最初はこいつらこそ、悪の権化かと思ってしまうほどだ(笑)。彼らは重要な情報をもっていたり、アイテムをもっていたりする。彼らをちょっと紹介しよう。

ジパング
28才。男。性格は残忍で、狂ったパンクスで何をしでかすか分からない。右翼のにいちゃん。
セコンドキラー
20才。男。性格は神経質。弱いくせに大口をたたくイヤミなやつ。
ジャンクス
40才。男。性格は無口。愛想の悪いハンターの中で最高齢のおじさん。強いが人がよすぎるのがハンターとしてはタマにキズ
チーフ
25才。男。怪力の持ち主。「スクリーマーのブッチャー」とハンター仲間からうわさされる海坊主。
ラット
12才。男。まだ幼いだけあって、動きはすばやい。ペットとともにBIASを冒険している。
モンスターマーダー
22才。男。性格は冷静。誰にも素顔を見せたことがない、何を考えているのかわからないヤツ。
ナチ
24才。女。性格は気まぐれ。手にムチをもっていて、あまりの強さから「オトコオンナ」としてハンター仲間から恐れられている。
サムライ
38才。男。サムライソードという最強の武器をもっている。BIASのどこかにいるという伝説のスクリーマー。
彼らと会うと会話ができるのだが、この会話というのは、単にアイテムの名前や武器の名前を入れるだけで、非常に物足りない気がする。せっかく味のあるグラフィックでキャラを特徴付けているのだから、なにかドラマ性のあるものを求めたかった。ストーリーにそれほど絡んでこないし、サムライソードを手に入れなくてもゲームは終了できてしまう。設定が生かせていなくて、実にもったいない。



ゲームの長所

このゲームは戦闘を除けば、実に正統的なロールプレイングゲームだったと思う。当時はアクティブロールプレイングゲームが出始めたころだったが、まだまだ3Dタイプのロールプレイングは人気があった。また、それまでの3Dタイプのロールプレイングゲームといえば、画面は線画で無機質というのが定番だったのだが、このゲームはそんな常識を打ち破り、実に美しいグラフィックが高速に移動し、スクロールする。特に扉を開けたときの演出や、ロードディフェンサーが出てきたときの演出などは、リアルタイムで画面が動き、雰囲気は満点である。また、舞台設定も近未来のちょっとグロテスクな感じで、不気味さはバツグン。そして最も力が入っているのがグラフィックで、「バトルキッズ」などの作者である東本昌平氏を採用したというその絵は、88のロールプレイングゲーム史上でも、これほど恐ろしく、不気味で、そこに芸術性さえ感じてしまうものはないだろう。私ははじめてモンスターのグラフィックを見たときの衝撃はいまでも忘れなれない。夜中にやっていたらトイレにいけなくなるような、気持ち悪いモンスターをよくここまで表現したものだと、脱帽である。
このゲームは、世界観という点ではこの時期のゲームとしては傑出していた。それはグラフィックに拠るところが大きいのだが、「北斗の拳」バリのシナリオ設定とのリンクが非常にうまくいっている部分も大切だと思う。
また、この世界観をさらに強固なものにするために、パッケージにマンガを付けた。マンガといえば、「英雄伝説サーガ」が先人であるが、スクリーマーはまるで「北斗の拳」を連想させるような世界観をもつマンガがついていて、なかなかこれ自体は楽しめた(ただ、それほどゲーム自体にかかわっていないのだが)。世界観をそれとなくユーザーに受け入れてもらうという点において、この効果はあったと思う。



ゲームの欠点

・死の概念

このゲームの特徴として、死亡するとあっという間にディスクからデータが削除されることが挙げられる。これは非常に過酷だ。せっかくBIAS内でためたデータも、ちょっとした油断であっという間になくなってしまう。しかも最初のウチは敵に勝つのが非常に大変なので、死ぬたびにデータが消えていたのではやってられない。ここがこのゲームの欠点のひとつだ。もちろん、これを長所と解釈することもできる。死んだらそのキャラは永遠にいなくなる。リアリティは確かにある。しかし、そんなリアリティはパソコンゲームには全く必要ないことをこのゲームは教えてくれた。ユーザーはこの恐怖の瞬間削除から逃れるために、ディスクにプロテクトシールをはったり、紙を挟んでプロテクトスイッチの部分を塞いだりした。そしてセーブするときだけ、それをはずす。実に面倒くさい。開発段階で、マジカルズゥもユーザーがこのような行動を取ることは分かっていたと思うのだが、あえてこのような仕様にしたというのは、かなりの冒険だっただろう。そしてこれ以後、同じような仕様をもったゲームは発売されなかったと思う。

・戦闘モードの苦痛

このゲーム、戦闘モードがなぜか出来の悪いアクションゲームだった。出来が悪いというか、非常にやることが単純で何度もやるとすぐに飽きてしまう苦痛なゲームというところだろうか。プレイヤーができる操作はしゃがんでひたすら武器を撃つだけである。ほとんどゲーム性がない。こんなアクションゲームでも、真剣にやらないと、あっという間にやられてデータが削除され、いままでの苦労が水の泡になってしまう。このアクション、エニックスの「ウイングマン」になんとなく似ている。もしかして、ここからアイデアを拝借したのでは?と勘ぐってしまう。ただ、ウイングマンの戦闘モードは画面がさらに小さいのにおもしろかった。それは、武器が豊富だったのと、スクリーマーよりは動きにバリエーションがあり、気楽にプレーできたからだろう。
ある意味、この戦闘画面はテスト段階での思考錯誤の末、こうなったのかもしれない。簡単すぎる操作は、アクションが苦手な人への配慮なのだろう。しかし、それならばいっそのこと、はずしてしまった方がよかったかもしれない。このままでは、アクションが苦手の人にも、アクションが好きな人にも満足できるものではない。
たとえば、戦闘をアクションでするか、自動的に勝敗をつけるモードにするか選択できるなどの配慮が欲しかったと思う。もし戦闘シーンがこれでなければ、3Dロールプレイングゲームが大好きだが、アクションは苦手という層からも十分な賛美を受けていただろう。



ゲームレビュー(焼津陣 Zin.氏より寄稿していただきました)

ザ・スクリーマーといえば、マンガとゲームソフトの融合といううたい文句で発売された特殊なゲームとして有名である。「それでは」とばかりに手にしたゲームソフトは、それなりの出来ではあったが「だからどーした」と言いたくなる部分も多かった。
パッケージはA4サイズ厚さ2~3センチだったろうか。すでに実物は無くなって久しいので覚えていないが、そのあたりだった。中側をくりぬきディスクを収納した形である。どこかのマンガで聖書の中を切り抜いて拳銃をしまっている牧師が出てきたが、そのような印象だ。アイデアだけは面白い。
ストーリーはおぼろげな記憶であるが、単なるバウンティハンター(賞金稼ぎ)であった。倒したモンスターの価値で賞金をもらう。奥に行けば行くほどモンスターのレベルも上がる。
 さて、私は当時88SRのユーザーだったため、初めはもちろんV2モードで立ち上げた。説明書にはV1と書いてあろうがなんだろうが、V2の方が速いのだから「動けばもうけもの、動かなくても当たり前」とするのが当時のSRユーザーの常識であった(私の周囲限定)。
画面が青みがかっている。良くある話である。V1用のソフトをV2で立ち上げるとこの現象はよく起きた。それでも途中で止まらなければいいのだ。動作速度の軽さはなにものにも勝る価値である(私的価値)。てれてれとやっている。そこそこ楽しい。しかし、商売敵の重要性が、あまりない。
 で、そのまま遊んでいたのだが、暗闇のゾーンがどうこう、とか知人に言われて「は?」と思った。そんな場所を見た記憶はない。説明を聞くと一階の頻繁に出入りしたあたりである。お分かりだろうか。仕様と言われるバグである。V2だと暗闇でも青みがかったまま表示されてしまうのである。まあ、おかげで楽させていただいたともいえる。V2に慣れるとV1Hでも遅く感じる。よって、初めにV2で遊んだ私は、そのまま続ける以外の方策は残されていなかった。
 私のこれまでの書き方から予測できているだろうが、あえて問題点を挙げていくとすれば、マンガのストーリーとゲームのストーリーがほとんどリンクしていない点、マンガが単なる世界観の説明に過ぎない点が一番の問題だと思われる。ひねりが足りない。まるでシステムが先に製作されてしまったかのようだ。
 ゲーム自体は可もなく不可もない出来で、遊ぼうとすれば遊べるし、さほど難しかった印象はない。バランスも良かった。レベルアップもそんなに苦労しなかったし、謎も難しすぎなかった。ゲームバランスがよく、システムも分かりやすく、非常に遊びやすい。北斗の拳もどきの賞金稼ぎたちなども見ていて楽しめた(あまり会わないけど)。ホラー仕立てのモンスターもなかなか良かった。RPG入門者には良いゲームであっただろう。が、だからこそ私は途中でやめた。
 私にとって、緊張感のなさは印象の薄さにつながり、惰性となった。あの当時、面白いゲームは無数に出ていた。今ひとつの面白さでは、インパクトが弱いのだから仕方ない。もう少しシナリオを練り上げてから、システムを設計してバランスをとる、そんなことができていたらもっとずっと良いゲームになっていたことだろう。
 もちろん、そんな技術力と資金力がある開発会社ではなかったのだから、実際には無理な話なのだ。結局、「おまけつき」ゲームに過ぎなかったのは残念である。アイテムの多彩さが許されたシステムなんだから、もう少し面白くできたとも思うのだが…。発売延期を重ねていた間に「出すことが重要」になってしまったのかもしれない。未来派ホラーというアイデアを生かしきれなかった点で、もったいない企画のゲームだった。

焼津陣 Zin.氏



パッケージについて

ザ・スクリーマーのパッケージは、88の数あるパッケージの中でも異彩を放つ逸品である。パッケージというよりは本の形態をしており、本の中をくりぬいてディスケットが入っている。また、本の前半はマンガになっている。これはマジカルズゥの長谷川氏が作ったシナリオのプロローグの部分が、「バトルキッズ」などの作者である東本昌平氏によって劇画化されているのである。当初30ページの予定だったのだが、東本氏がノリにのってしまい、話が膨らんで53ページもの大作になってしまったという。



マジカルズゥとスクリーマー

マジカルズゥとはどんな会社だったのだろうか。マジカルズゥとはソフトのブランドネームだけのような印象を受けるが、マニュアル、書籍などの編集、各種ショーなどのブースデザインやイベント企画など、さまざまな分野の仕事を手掛ける、ストラットフォードという会社の中の一部門だった。ストラットフォード(STRATFORD SOFT)は埼玉にあった会社で、もともと家庭教師派遣会社「学習館」をその前身にしているため、勉強が苦手な子ども向けということで、教育用のC.A.I.ソフトをたくさん作っていた。1983年に第一回アドベンチャーゲームコンテストを行い、「黄金の墓」、「ムー大陸の謎」などの話題性のあるゲームを発売した。この時の発売のブランドを「マジカルズゥ」と名づけ、それ以降「マジカルズゥ」というブランド&部門(正式な部門名は不明)でソフトを販売し続けた。

ザ・スクリーマーは、1984年の1月から制作は開始されていた。そのときは「バイオソルジャー・リュウ」という名のアドベンチャーゲームであった。これは現代を舞台とする変身モノのアドベンチャーだったのだが、みながあれこれアイデアを出すうちに、RPGに変更になってしまったという。メインはゲームデザイナーの長谷川氏(写真)とプログラマーの金子氏で、長谷川氏は設定やシナリオを担当している。長谷川氏は元プロスケートボーダーの経歴を持っているという変わり種で、駅で拾った週間就職情報誌をみてストラッドフォードに応募。当初は印刷部門にいたが、デザイン部門に移り、「続・黄金の墓」をデザインしたことによりその才能が開花した人物であった。プログラマーの金子氏は、根っからのマイコン好きで「続・黄金の墓」のPC-6601SR版とX1版の移植を担当したあと、ザ・スクリーマーを担当した。1月ごとに納期が延びるという過酷な環境の中、彼は7人がかりで作成したプログラムをまとめるのに大変苦労したようである。
ザ・スクリーマーは、マジカルズゥを有名にしたゲームである。しかし、このあとに発売されたゲーム「アウトロイド」や「マカカーラ」はいまいち精彩を欠き、いつのまにか、このメーカーの名は耳にしなくなっていった。ザ・スクリーマーの次に制作するはずだった「西部警察七人衆」というパロディゲームは果たしてどうなってしまったのだろうか?


参考文献:山下章のADV&RPG、テクノポリス85年、ログイン85年7月号

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