ロマンシア by 虎菊氏


日本ファルコムより1986年10月に発売


はじめに

現在、私にとってこのゲームを自力で解いたのは自慢です。それほど難しいと評価された(一部では、クソゲ呼ばわりされたりもした)ゲームですが、私に言わせれば、この程度のゲームを自力で解けず、クソゲ呼ばわりするやつは、ゲームをする資格も語る資格もありません。

ロマンシアを買った当時、ザナドゥなどを数回プレーしていて、すでに日本ファルコム(というか木屋さん)のファンでした。 で、雑誌の広告でロマンシアを見たときは、正直、凄くおもしろそうで、やってみたいと思いました。(重ね合わせ処理が凄いとかいうのもウリだった記憶があります) そして、日本ファルコムに直接通販を頼みました。 発売日前日に届いた記憶があります。


ものがたり

はるか遠い昔。北方の広大な森の中に2つの小さな王国がありました。兄弟である2人の王によって治められている王国。兄王の国をロマンシア、弟王の国をアゾルバといい、人々は平和で静かな日々を送っていました。
 しかしある日、ロマンシア王国の王女セリナが何者かにさらわれ、アゾルバ王国の方へと連れ去られてしまいました。
 王国では、直ちに若き戦士達による「王女救出隊」がつくられ、アゾルバへと送られていきました。 が、彼らはそれっきり戻ってくることはありませんでした。やがて、王国にやまいがはやりだし、各地で様々な異変が起こるようになりました。
 それからしばらくたったある日のこと、ロマンシア王国に一人の若者がやってきました。 彼の名はファン=フレディ。とある王国の王子でいろいろな国を旅して回っている彼は、ロマンシア国、アゾルバ国を囲む”冒険の森”と呼ばれる森に迷い込み、その末にここにたどり着いたのでした。
 今、ファン王子はロマンシア城の前にいます。 ここから、ゲームは始まります。(マニュアルから抜粋)


ロマンシア・プレイ日記

実際、遊び始めてみると、最初は何をしてよいのやらさっぱり分からず、1週間がすぎました。 しかし、少しずつですが、着実に進展していきはじめてくると、少しずつおもしろさがでてきました。 ヒント等はなく(この点では、ハイドライドと同じ)運だけで進んでいったという話もありますが・・・。 基本的には、良いことをしてカルマをあげていけば良いのですが(最初は、困っている人に寿齢の薬をあげたりして、カルマを増やす)、それだけではクリアするのは不可能です。 遊び初めてからクリアするまで2ヶ月くらいかかりました。 クリアしたときの感動といったら、言葉では表現できません。ちなみに、今でもクリアの仕方を体が憶えています。そ れほど、遊び込んだゲームの1つです。

ゲーム自体は、2部に分かれています。 1部はお姫様を助けるまで。2部はドラゴンを倒すまでです。 最初にお姫様を助けたときは、うれしくてうれしくて・・・。 一応、ドラゴンスレイヤーシリーズなので、ドラゴンスレイヤーを手に入れて、最後にドラゴンを倒すとクリアになります。エンディングがないのがものすごく寂しいです。 この点だけが不満です。 それと、このゲームには一応HP(ヒットポイント)があるのですが(ハートマークで表示される)ノーコンティニューでクリアするのは不可能だと思います。私も、クリアするまで数十回はコンティニューします。(^^;;

特に難しく感じた部分としては、悪い王様に会う前に一度カルマを0にしなければならない点や秒数(たとえば下2桁が00とか)によって普段は行けないところに行けたりする点や寿齢の薬の数に限りがある点でしょうか。

個人的には、ものすごくやりがいのあるすばらしいゲームだと思います。(何せ、2ヶ月やり続けましたから・・・) まだ、やったことがない人は、何もヒントをみずに挑戦することをおすすめします。 少しずつ良さが分かってくることでしょう。 そして、このゲームをヒントなしでクリアして初めてゲームを語る資格が生まれることでしょう。 頑張って下さい。


ちょっとだけヒント

ロマンシア王国の前に立っているところから、ゲームが始まります。 まずは、王様にあって、話を聞き、剣をもらっておくのがよいでしょう。 で、カルマが減る心配のないうちに、「巻物」を取りに行くべきです。 巻物は、偽物がたくさんあります。 本物は、一番奥の人が持っています。 それから、街に戻り、寿齢の薬を困っている人にあげて、カルマを増やします。あげる必要のない人もいますので、くれぐれも寿齢の薬を無駄遣いしないのがポイントです。ある程度カルマがあがると、教典や衣がもらえ、水門が開かれ、地下に行くことができます。 地下で、精霊に聖なる鍵をもらいます。 そして、天上界へと旅立つことができます。 天上界では、裏技?ですが、ランプを使用して、一気にカルマをマックスにできます。(これが重要)そして、地上に戻り、一度カルマを0にして、アゾルバ王に話しかけると、まともな顔に戻り、王女を救うことができます。これで一部は終了です。 2部は自分で頑張ってみて下さい。

文章:虎菊氏




補足

ロマンシアを自力で全く解けずにクソゲー認定したために、ゲームを語る資格を剥奪されたY.ROMIが、このあとを補足します(笑)。

ロマンシアはドラゴンスレイヤーシリーズの第3作目にあたり、開発コードネームが「ドラスレJr.」であった。このゲームを開発したのはドラゴンスレイヤーの生みの親である木屋善夫氏で、プログラムをシナリオも含めて1ヶ月で作ったというエピソードがある。また、それ以上に驚くのは、移植もすべて木屋氏が行い、X1版はたったの2日、98版は1週間、全機種同時進行で2ヶ月弱という。このハイスピードは、「ザナドゥ」を移植したときに自分ひとりでほとんど移植をしたため、そのときに覚えてしまったらしい(本当なのかは不明)。

ロマンシアの難易度は驚異的である。この難易度の高さはパソコンゲーム史上でも5本の指に入ると思う。パッケージに「こんなの有りか?!、RPGでもないADVでもない」と書いてあることは有名なのかもしれないが、その意味は「こんな難しいゲームありか?!」という意味なのではないのか?と思われるほどだ。
当時の雑誌はみなその難易度を指摘しつつも、攻略方法を掲載し、ロマンシアに高い評価を与えていた。「ドラゴンスレイヤー」という看板と、日本ファルコムと木屋善夫という名前を見せつけられたら、どの雑誌も悪い評価を与えない(与えることはできない)のは当然のことだったと思う。
しかし、はっきりいって筆者はこのゲームはおもしろいと思わない。なぜかというと、ちょっとプレーして、全然先に進めなかったからだ。だから、虎菊氏のいうように、このゲームを語る資格はないかもしれない。しかし言わせてもらおう。この時代、ファルコム信者ではない筆者にとって、数時間プレーしても全くおもしろさが分からないゲームは「クソゲー」だった。考えて見ると、「ザ・ブラックオニキス」「ザ・ファイアークリスタル」「エプシロン3」も同じように難しいゲームだった。少しやったくらいでは何も進展しないゲームだ。でも、筆者はこれらのゲームを夢中でプレーした。それは何か新鮮なおもしろさ、わくわくする何かがあったからだ。でも、ロマンシアからは、何も感じられなかった。ただそれだけのことだ。「ロマンシア」をおもしろいという世代と、「ザ・ブラックオニキス」をおもしろいという世代がはっきり分かれていると思うのだ。だから、たとえば筆者が昔のパソコンゲームが好きな人に会ったときに、その人が「ロマンシア」を当時夢中でプレーしたと言ったら、いわゆる「ザナドゥ」の時代からゲームをはじめた人なのだな、と感じることがよくあるのだ。つまり、このゲームを評価した人たちというのは、PC8801を初期からプレーしていない、言ってみれば88の第2世代の人たちだと思うのである。




補足2

ロマンシアは、日本ファコルム初のフルカラースクロールゲームである。しかも高速だ。88ではスプライトがないために、キャラクターの重ね合わせはプログラムで処理しなければならない。また、ハードによるスクロールする機能もなかったために、画面もプログラム上で書き換えなければならない。実にスクロールゲームが作りにくい機種だった。
「ロマンシア」は、「ザナドゥ」からで使用された「仮想画面」と移動した部分のみを書き換える「差分書き換え」による効果で、この高速スクロールを実現している。詳しくは、「ソーサリアン」のコラムを参照していただきたい。
筆者が調べたところでは、88ではじめて仮想画面や差分を使ったフルカラースクロールゲームは恐らく「リグラス(ランダムハウス)」だと思うのだが資料がほとんどなかったために、残念ながら調べることができなかった。だれか解析求む~。

ロマンシアに関連するすべての画面写真、パッケージ写真の著作権は株式会社日本ファルコムに帰属します。