ジャンルについて
本CD-ROMに収録されたゲームは内容によっていくつかジャンル分けされている。各メーカーが当時、ゲームのジャンルを明示していたわけではないので、本CD-ROMのジャンル分けは、過去の雑誌の傾向や筆者の独断に依っている。メーカーは自社のソフトを宣伝するために、ジャンルに関するさまざまな造語を作りだした。だから、その宣伝文句こそが正確にはそのゲームのジャンルになるのだろう。
また、ゲームが複雑化するにつれ、さまざまな要素が混じったゲームが発売されたため、本書では読者の納得のいかない分類もあるかもしれない。ただ、ジャンル分けは、メーカーではなく雑誌が、ゲームをひとつのカテゴリに収めたいために作り出したものであり、本CD-ROMもそれに習いも各ゲームをカテゴリに分けることによって、その歴史をより深く探求し、読者に対してそのゲームの実態をより明確にすることができるのではないかと思っている。なお、本CD-ROMのジャンルは、「電視遊戯大全」に掲載されたものとほぼ同様の定義にしてある。
リアルタイムゲーム
アクションゲームとシューティングゲームをあわせたものをリアルタイムゲームと定義している。
「アクション」という言葉自体の定義があいまいな感があるが、「アクションゲーム」を定義すると、プレイヤーの操作に関わらず、ゲームが常に進行していくもので、プレイヤーが反射神経を使って状況に応じて対処していくゲームといえる。ただ、主人公の成長の概念があるものは、ロールプレイングゲームに含めている。アクションゲームの中には、『スペースインベーダー』や『セビウス』に代表される「シューティングゲーム("撃つ"アクションゲーム)」も含まれる。シューティングゲームは、文字どおり「撃つ」ゲームである。基本的にアーケードのビデオゲームはアクションゲームと考えて良いだろう。
いちおうアーケードゲームの定義をまずはっきりしておこう。アーケードゲームを「1プレイに対してお金を入れるもの」という硬貨式娯楽機の事を指すことにする。さらに、テレビモニターがついていて、それがゲームの進行上、不可欠なものを考えることにする。
アドベンチャーゲーム
「アドベンチャーゲーム」は、プレイヤーに対して謎・目的が出され、それを画面上で質問、選択、応答しながら「解く」ことが目的のゲームである。コンピュータ小説といえる部類だろう。ただ、小説と違うところは、プレイヤーが能動的に動けるというところにある。たとえば、推理小説ならば、プレイヤーは探偵が捜査をしているところを見るだけであるが、アドベンチャーゲームならば、自分で容疑者を尋問したり、証拠品を探したりといった思い通りのことができるということである。初期のアドベンチャーゲームは、静止または一部分動画している画面に向かってコマンドを入力、選択していくものである。後期のアドベンチャーゲームは、アクションゲーム的な要素を含み、プレイヤーが実際にキーボードを使ってリアルタイムに歩き回りながら、物語を進めていくというものにも発展している。
ローグプレイングゲーム
「ロールプレイングゲーム」は当初アメリカで「アドベンチャーゲーム」と同じカテゴリに分類されていたことから、目的や行動は「アドベンチャーゲーム」と非常に良く似ている。ただ、ロールプレイングゲームは、さらに細部に渡って世界が構築され、プレイヤーがコンピュータの中のキャラクターに完全になりきって冒険し、共に成長したり、傷ついたりしながら冒険をしていくところが違う。「アドベンチャーゲーム」は基本的に物語の経過や解法がプレイヤー間で同じなのに対し、「ロールプレイングゲーム」は、それらがプレイヤーによって異なってくる。
シミュレーションゲーム
「シミュレーションゲーム」は過去の雑誌で分けられたジャンルを広範囲に含んでいる。具体的には、「テーブルゲーム」「パズルゲーム」「シュミレータ」「ストラテジーゲーム」を総称している。「シミュレーション」とは「見せかけ、真似、条件を正確に整えて実験し、物事の予想に役立てる」という意味である。初期のコンピュータゲームは、それまでにあった娯楽を画面上で表現しようとするゲームが多かった。たとえば、麻雀、トランプ、ジグソーパズルなどである。これらはよく「テーブルゲーム」と呼ばれるが、実在のゲームをシミュレーションするという意味で、本CD-ROMでは「シミュレーションゲーム」に含めている。「ストラテジーゲーム」とは、一定のルールのもとで、勝利に近づくために次は何をするのが最も効果的なのかを選択してゆくゲームである。基本的にはプレイヤーが行動を選択するまで、ゲームの進行が止まっている。「信長の野望」、「大戦略」などが有名である。ただし、後期には「アートオブウォー」などリアルタイムで進行するものも出現した。
アダルトゲーム
「アダルトゲーム」はゲーム中に性描写、わいせつな表現、裸体を含むものとする。ただし、それを表現した場面がゲーム本来の目的と関係ないものは除いている。そのゲームがリアルタイム的な要素やアドベンチャーゲームの要素をもっていたとしても、上記の要素が含まれるものは、優先して「アダルトゲーム」のジャンルに含めることにした。
このジャンルは非常に定義が難しく、たとえば日本ファルコムの「アステカ」で一部分でわいせつな場面があるが、ゲームの本筋とあまり関係ないと考え、「アドベンチャーゲーム」に含んでいる。
参考文献:電視遊戯大全