ドラゴンスレイヤー by 市川氏
日本ファルコムより1984年11月に発売
ドラスレ登場!
このゲームが発売された1984年にはRPGというものは一般受けするものでは決してなかった。日本のユーザーのRPGに対する大半の評価というのは「なんかRPGって難しそうな感じ~」「ていうかぁ~マニアックみたいなぁ~」といったところだった。そんな中で、日本のゲーマーに馴染みの深いアクションゲームの要素を取り入れたアクションRPGが誕生した。その日本初の作品がこのドラゴンスレイヤーである。
前代未聞麻薬的爽快遊技!
このゲームは元は壁をピコピコ動かすだけのものだったらしい。それに味付けをしていったらドラスレになったというが…。だとしたらそのセンスには驚かされるものがある。やはり木屋氏は天才だったのだろう。
ところでこのゲームの楽しさとはなんだろうか?やはりそれはこの世界を知ることに尽きるだろう。敵のアルゴリズム、より効率的なプレイの仕方、それであろう。慣れてくると敵を簡単に誘導できるようになるし、魔法やアイテムもより効果的に使えるようになる。そういったこの世界の中で純粋に「遊ぶ」といった感覚がこのゲームは抜群に優れていた。
ドラスレのちょっとした攻略法
攻略に絶対に欠かせないパワーストーン。あれをまともに宝箱を開けていては面倒臭いだけだし、面が進むと数が足りなくなってしまう。こんな時に役立つ知識が「8個目の宝箱にパワーストーンが入っている」というものである。だが、これは宝箱を8個開けないといけないうものではない。”8歩目の宝箱に”なのである。
つまりパワーストーンが出たら、8歩あるいて宝箱を開ければ連続してパワーストーンを取ることが出来るのである。この知識があれば、宝箱の山を全てパワーストーンにすることが可能になるのである。ちなみに経験値が 30000になればその場で足踏みをして開けるだけで良いので実に楽である。これで1面クリアもあっと言う間さ!
ちなみに王冠集めの方法…。敵は出てこなくてもドロボウ幽霊は出てきますので結構たいへんです。こんな時は十字架なり指輪なりのアイテムを何か持っていましょう。そうすれば王冠の代わりにこれが盗まれるだけで済むことがありますので助かります。もしくは十字架などのアイテムで囲いを作ってその中に王冠を入れておくという方法もあります。この方法でも盗まれる可能性がかなり減ります。ぜひ参考にしてみてください。
てなわけで座談会
A:謎の語り屋からて氏
B:謎のぽっくり屋店員
A きゃっほい!今回はドラスレの座談会だー(満身のにんまり)
B ええ、このゲームの座談会が出来るのは非常に嬉しい!
A うむ、だが責任重大であるぞ。
B 分かってます、でも考えてください。この座談会をやるのはドラスレブラザーズと呼ばれた我々ですよ?きっと素晴らしい座談会になります!
A うむ、歴史に残るかもしれんな…。ワクワクしちゃうぜ。
B でも、この資料館の制作者からの我々の信頼度はなぜか低いですねぇ…。
A うむ、今世紀最大の謎だ(チクチク)。ん?なんかチクチクする。
B ええ(チクチク)、なんだろ?
A う!モニターの前の御方からの視線だ!!(チクチクチクチクチク)
B うう…我々の評価はこんなもんだったんですね…。
A よし!この座談会で我々の名を世界に広めようではないか!
B やりましょう!
A あ…モニターの前から皆さんが去っていく……。
B 待ってぇ~。
*まんずはパッケージだす
B 同感。あれがなかったら、ただの変なゲーム…(ハッ)いまいちイメージが掴みづらいゲームになってましたね。
A ちょっとカッコ良すぎた気もするけど。
B いいんです!あのパッケージがあったからこそ、いまでも心に残るゲームとなり得てるんです。イメージの勝利っす。
A でも正直なとこ………。当時のファルコムのパッケージって、表紙だけ綺麗な姉ちゃんで、中身は50歳過ぎたババァがセーラー服きて出演してるようなAVに匹敵するくらい胡散臭いもんがあったな。
B いいの!イメージの問題なんだから。
A ほう、先に言ったようなAVでもお前は心に残るっていうのか?
B う……。別の意味では残ると思うけど…。
A ま、でもカッコいいことは良いことだ。許すか。
B ええ、許す。
A お前もけっこう適当だね(笑)
B いいの(笑) 次いきましょ。
*ゲームとしては?
B ん~。パワーストーン集めがちょっと面倒だった気もするけど、全体的には面白い作りになってました。
A うん、なんか本当に「遊び」っていう感覚なんだよね、このゲームは。墓石の上に敵を置いてフリーズの魔法を掛けるともう敵が出てこないとか、大事なアイテムの周りをアイテムで囲っておいてドロボウに取られないようにするとか、いろいろ自分で考えて工夫が出来たもん。
B 敵との戦闘に関する計算も単純で理解しやすかったから、いろいろ工夫もし易かったんですよね。自分のHPが経験値より少なくなれば、残った弱い敵も逃げなくなるから、一網打尽にしたり。
A ゲーム全体のバランスも、パワーストーン以外は凄く良かったと思うよ。
B そうですね。敵も弱い順に出てくるから、自分の強さと相談して新しい敵を出すことが出来たし。それに魔法がよく出来ていたから、戦闘をこちらの思い通りに進めることが出来ました。
A うん、あの魔法も面白かったよね。あくまでゲームを進める上で便利な魔法っていうだけで、ファンタジー世界的な魔法というより、どっちかというと特殊アイテム的な感じの役割を果たしてたよね。
B う~ん、あんな昔のゲームなのに、以外と欠点がないもんですね。
A うん、パワーストーンは正直、本当に面倒臭かったけど、他の点では本当にストレスを感じずに楽しめたもん。これって凄いことだと思うよ。
*で、リバイバル版は如何でした?
B ええ、あの出来は良かったです。でも一つ浮き彫りにされた欠点として、一つのパワーストーンで手に入るストレングスの値と、経験値の量を変えただけであんなに簡単に終わってしまうゲームになったのか…ってこと。
A いや、もともとが単純に遊ぶゲームなんだから、俺はあれでいいと思うよ。実際、15分もあれば1面終わっちゃうけど、スピーディに全面クリアするのも良いと思うし(飽きるけど)、強くなって敵と戯れるのに時間を費やすのもいいと思う。パソコン版と違って、それを自由に選択できたもん。
B Aさんの場合は自分の精神状態によって?(笑)
A そう、上司に怒られた時は強いキャラで弱い敵をずっと苛めるとか……へへへ。って何いわせんじゃい!
B ま、システム的以外にもいろんな楽しみ方があるということで(笑)
A うん、このセガ・サターン版は個人的にはお薦めだな。
B 同感。素直に楽しめるから、やったことない人も一回は楽しんで欲しいもんです。
A ていうかパソコンで出ないかな…このリニューアル版。
B ………ファルコムのゲーム3本セットとかなら出るかもしれないですけどねぇ。これ一本じゃ辛いでしょうね。
A 出るとしたらデーモンズリングとアステカとドラスレ……時代は似てるけど先の二つの瞬間画面表示なんか、今ではまるっっっきり売りにならんしなぁ。完全リニューアルするなら別だけど……ポリゴン使った3Dにするとか。
B そこまでやるなら一本のゲームで出せますって(笑)
A ぬぅ……ドラスレがパソコンで出る日は遠い。
B 遠くなる度に復活の可能性が低くなる悲しいゲームですねぇ…。
A 暗いこと言うんじゃねぇ!(笑)
B はは、でもいつか出るかもしれませんね。けっこう楽しみですよ、パソコン版のリバイバル・ドラゴンスレイヤー。
A そうだねぇ。いつかは……(遠い目)。
B てなとこで、座談会はこれくらいにしておきますか。
A うん、これが今回の資料館の最後の座談会になっちゃうんだなぁ。もっといろんなゲームを語ってみたかったなぁ。
B ていうかAさんが締め切りギリギリまで遊んでたのが悪いんですよ。単なる時間切れ(笑)
A うう…光陰、矢の如し。過ぎ去った時は帰ってこないのね。
B いい歳こいて当たり前のことで後悔しないでくださいよぉ。
A うっうっ。天使達の午後の座談会もやりたかった……。
B ………永遠にさよーなら。
A あ~ん、またどっかでコンビ組もうね。
B それでは皆さんさよーならー。
A ばいびぃー。
補足・木屋氏とドラスレ
木屋氏とドラスレ、日本ファルコムのつきあいはどのようなものだったのだろうか。当時の雑誌から探ってみよう。日本ファルコムはアップルなどの海外ゲームを扱うゲームショップであった。木屋氏は、ここの常連客であった。ある日、カシオのFP-1100というパソコンが安く売られており、それをいじっていたら社長(加藤社長)に「これでゲームを作ってみないか?」といわれたのがきっかけらしい。実際に入社したのは、1984年あたりと思われるが、「ギャラクティックウォーズ」に「Yoshio.k」の名前があることから、ゲームは1982年以前から制作していた。(ちなみにFP-1100では「ギャラクティックウォーズ」と「ぱのらま島」を両方ともBASICで制作。)
それ以前、木屋氏は整備士の専門学校を出て、自動車の整備士をしていたのは有名な話。整備士の世界は資格を持っていても年功序列の世界で、嫌気がさしていたらしいが・・。木屋氏は20才のときに整備士の学校の卒業とともに結婚。1982年あたりに子供が生まれたのだが、そのときに家で一人で暇だったので、パソコンでも買おうかとPC-6001を購入(嫁さんの見舞いはどうしたのだろうか?)。そのあとPC-8801を購入した。これがパソコンとの出会いだったらしい。
「ドラゴンスレイヤー」に関連するすべての画面写真、パッケージ写真の著作権は株式会社日本ファルコムに帰属します。
世界の中にいるキャラクターも実に味があった。敵キャラもタモリはいるわ電子レンジはあるわ可愛いペンギンはいるわで、超かっちょいいパッケージとは似ても似つかない世界なのである。まぁそれはこの当時のファルコムの伝統的な手法なのであるが…。でもやっぱりあの頃のファルコムのパッケージはやりすぎだと思う今日この頃である。
さて、お次は敵の封じ込め方法。まだ自分がさほど強くなっていないのにどんどん強い敵が出てきて困っちゃう…。そんな時は強い敵が出てきたら墓場でフリーズの魔法一発!ハイ、これでもうその敵は動けないし、それ以降の強い敵は出てこなくなります。パワーストーンを集めて強くなるまでこれで全ての敵を封じ込めておきましょう。のほほ~ん。
そしてドラゴン崩壊後の最後の猛攻。自分の家から敵が止めどなく出てきて大変なことになっております(初期版のドラスレでは自分の家が十字型に墓に囲まれているという通称ブラッディークロス)。敵がどんどん出てきてからではもう手遅れです。ドラゴンを倒したら即行でフラッシュの魔法で時間を止めて、フライの魔法で空飛んで急いで帰りましょう(家の上にすでに敵が出現している場合はリターンの魔法は使えません)。そして定番のフリーズの魔法で家の上(初期版の場合はブラッディークロス上にいる敵)にいる敵を動けなくしてしまいましょう。これでもう敵は出てきません。あとはのんびりと王冠を集めればOKです。集め終わったら王冠を置いてフラッシュの魔法を使い(王冠を持ってると魔法は使えません)家の上にいる敵を倒して、王冠を家に持ち帰れば1面クリアです。やったね
余談だが、木屋氏は子供のころからゲーム好き。中学生のころはスペースインベーダーにはまり、20万点くらいは軽くたたき出していたらしい。それが嵩じて、高校ではゲームセンターでアルバイトしていた。
ドラゴンスレイヤーであるが、これはアップルの「コップツ&ロバーツ」というゲームを見て、とてもおもしろいのでそっくりそのまま同じものを一晩で作ろうとしたところから始まった。それから、主人公を中心にまわりがスクロールするゲームに進化した。当時木屋氏はまだ社員ではなかったのだが、ファルコムの他のメンバーがいろいろと無理な注文をしてくるので、それをいろいろと盛り込んでいったようだ。中央スクロールという柱に、「コップ&ロバーツ」からはパワーストーン。「ザ・ブラックオニキス」からはキャラクター、「倉庫番」からはカベを押す発想が生まれた。この発想が地図全体を迷路へと発展させる原因となったようだ。キャラクターは当初紙にかいて作ろうとしたが、うまくいかずにエディターで直接画面にかく方法を採用。その数32種類。ブラックオニキスのほかにも「異次元からの脱出」のパッケージの目玉をキャラに。前年に人気だったペンギンとタモリをキャラに。主人公の三首ドラゴンはぱのらま島のパッケージからもってきたもの。また、ジャケットにある漢字コピーは仁丹のコピーのパロディーということだ。(Y.ROMI)
参考:POPCOM84年12月号、テクノポリス85年4月号
木屋氏の写真:電視遊戯大全より引用